アーロン・ゴードン&ジャマール・マレー

第1クォーターの劣勢を泥臭い戦いぶりで跳ね返す

ナゲッツがティンバーウルブズと対戦する際、2023-24シーズンのプレーオフで『GAME7』の末に競り負けた苦い記憶が今も思い出される。チームのサイクル的には、優勝した前シーズンと同じかそれ以上に充実していたはずが、ウルブズの超タフなディフェンスに苦しめられ、若くて意欲的なエネルギーに押し切られた。

現地4月18日にプレーオフが開幕し、ナゲッツはファーストラウンドでウルブズと対戦した。その第1クォーター、ナゲッツの出来は23-33のスコア以上に悪かった。周囲が動かないことでボールを持ったニコラ・ヨキッチが孤立。相手の激しさに負けまいと無理をすることでファウルがかさむ。攻守のキーマンであるアーロン・ゴードンが第1クォーターで3つのファウルを犯し、3つ目は望み薄と分かっていてもチャレンジ権を使うしかなかった。

第1クォーターでヨキッチが12分フル出場したにもかかわらず10点ビハインド。彼がベンチで休む数分間で事態は手の付けられないほどに悪化する恐れがあったが、ジャマール・マレーが奮起した。

プレーオフで特別な勝負強さを発揮するマレーだが、ヨキッチとの阿吽の呼吸から3ポイントシュートを次々と決める普段とは全く別のプレーを見せた。この試合、彼のシュートタッチは最悪と言っていいレベルで、武器である3ポイントシュートは8本放ってすべて外れた。それでも彼は外に固執せず、ウルブズ守備陣のギャップを突いてリムを攻め、フリースローでも得点を重ねていった。第2クォーターはゴードンがプレーしなかったにもかかわらずマレーがオフェンスを引っ張り、同点に追い付いて前半を終えた。

第3クォーターにナゲッツはヨキッチ、マレー、ゴードンが噛み合い14-0のランでウルブズを突き放す。終盤にウルブズの追い上げもあったが、リードを守りきって116-105の勝利を収めた。

ナゲッツを率いるデビッド・アデルマンは「立ち上がりは本当にひどかった。アウェイチームが敵地に乗り込んで最初に一発喰らわせる、まさにそんな出だしだった」と言い、こう続ける。「その苦しい状況に追い込まれたからこそ、チームで団結して泥臭く勝ちきったのは素晴らしい。美しいパスとシュートで勝つ日もあるだろうが、こういう勝ちも同じ1勝の価値がある」

前半はわずか6得点、7アシストに対してターンオーバーが4つあったヨキッチは、後半は19得点4アシスト1ターンオーバーと持ち直し、トリプル・ダブルを記録した。ルディ・ゴベアの激しいディフェンスに、それにファウルの笛が鳴らないことにかなりフラストレーションを溜めながらのプレーとなったが、終盤の勝負どころで自制心を失うことなくゴベアを圧倒して違いを作り出した。

マレーは第4クォーターにさすがに疲れを見せて得点ペースが落ちたが、そういう時にヨキッチが活躍するという意味で、このコンビはやはりプレーオフで抜群の勝負強さを備えている。

ウルブズを率いるクリス・フィンチは、チーム全体でフリースローが19だったのに対し、マレー一人に16本、ナゲッツ全体で33本のフリースローを与えた判定に激怒していたが、16本すべてのフリースローを決めたマレーは「すべて正当なファウルだった」と語る。

ウルブズは様々なディフェンダーを送り込んでマレーのリズムを崩そうとした。それはマレーの3ポイントシュートを封じたという点で効果はあったのかもしれないが、彼の得点を狙う姿勢まで打ち消すことはできなかった。「誰がマークに付こうが関係ない」とマレーは言う。「激しく当たろうが、突き飛ばしてこようが同じだ。味方が良いスクリーンを掛けてくれるから、それを使って点を取るだけだよ」

その落ち着きは29歳のベテランになり、プレーオフの場数を踏んだ今だからこそ発揮できるものだ。「プレーオフで初めての試合を覚えているよ。スパーズ相手にいきなりスティールしたけど、熱くなりすぎていてロゴからシュートを打ったんだ(笑)」

「でも、経験を積むにつれてプレーオフでもリラックスできるようになった。もちろん、普通の試合とは違うよ。でも、多くの試合数をこなすことになるし、ずっと無理にシュートを打っても上手くいかない。自分のペースでプレーしていれば、試合の方から僕のところに来てくれる。30年近くやっていることをやるだけだから、考えすぎずに自分のプレーをするだけさ」