
延長の勝負どころでヨキッチの『規格外のスキル』炸裂
2日前のクリッパーズ戦を欠場し、休養十分で敵地でのナゲッツ戦に乗り込んだビクター・ウェンバニャマは34得点18リバウンド7アシスト5ブロックとMVP候補に相応しい活躍を見せました。それでもニコラ・ヨキッチが40得点8リバウンド13アシスト3ブロック、ターンオーバーなしという大活躍で、ナゲッツがオーバータイムの末に勝利しました。
ヨキッチは特に終盤に1on1を積極的に仕掛け、最後はウェンバニャマの高いブロックの上を置くアーチのショットで試合を決めました。
224cmの身長に加えて244cmのウイングスパンを誇るウェンバニャマは、ジャンプしなくても292cmのスタンディングリーチがあり、この試合でもヨキッチと同じ211cmのヨナス・バランチュナスのフックショットを『ジャンプせずに』ブロックする離れ業を見せています。センターの選手でもペイント内でウェンバニャマに勝つのは至難の業です。
しかし、ウェンバニャマの高さが規格外なら、ヨキッチのスキルも規格外でした。ウェンバニャマをパワー勝負で押し込み、パスフェイクを織り交ぜながら左右へのターンで振り回し、129kgの横幅を使ってウェンバニャマから遠い位置でフックショットを放っていきました。スパーズのディフェンスからみると、他のチームが相手ならば想定する必要がない形で失点してしまいました。
ただ、ヨキッチといえどもタイミングを合わせられた時にはブロックされており、ウェンバニャマとしてはフェイクに騙されされしなければ叩き落す自信はあったはずです。しかし、ナゲッツの2点リードで迎えたオーバータイムの残り1分、ヨキッチはこれまで同様にパワーで押し込み、パスアウトのフェイクでヘルプディフェンダーを遠ざけ、左足を軸にしてターンします。
This shot by Jokić in OT was INCREDIBLE 👏
40 PTS, 8 REB, 13 AST, and…
ZERO TURNOVERS. pic.twitter.com/XIpVHaEw5C
— NBA (@NBA) April 4, 2026
ショットクロックがなかったこともあり、フェイダウェイショットと読んだウェンバニャマは、ヨキッチの右手に向かって自分の長い左手を伸ばしました。タイミングは完璧で、ヨキッチの右手にあるボールよりも高い位置にブロックショットを狙う手がありました。
ところがボールはその左手を超える軌道を描いてリングに吸い込まれました。この土壇場でヨキッチが選んだプレーは、フェイクとターンでタイミングを外しながら、自身の横幅とフェイダウェイによって距離を作ってのハイアーチのシュートでした。ウェンバニャマの規格外の高さを持ってしてもブロックできない、複数の仕掛けが織り交ぜられた超高難易度のシュートでした。
そして残り10秒。今度は直接マッチアップしていなかったこともあり、ペイントでリングに正対したヨキッチに対し、ウェンバニャマはワンステップを踏んで全力で跳んでブロックを狙いました。おそらく、この試合で最も高さのあるブロックでしたが、ヨキッチが放ったフローターはそのはるか上を通過し、そしてリングを正確に射抜きました。
柔らかくボールを浮かび上がらせるフローターは、そもそもがブロックショットをかわすためのシュートであり、211cmのヨキッチが打てば『普通なら』誰もブロックできません。しかし、そんなシュートすら止めるウェンバニャマに対して、普段よりも高い軌道のシュートを放ち、それを決めるスキルの奥深さには賛辞を贈るしかありません。
この試合の敗戦により、スパーズは2位でのプレーオフ進出が濃厚となり、逆に勝ったナゲッツはルカ・ドンチッチとオースティン・リーブスが離脱したレイカーズを抜いて3位へ上がる可能性も高まりました。『規格外の高さvs規格外のスキル』の対決は、プレーオフ最大の見どころになるかもしれません。