
ポイントガード不在の試合で高速パスワークが機能
タンキングの是非が議論されるのは、『わざと負ける』という行為がスポーツの本質的な価値を損なうと同時に、チーム強化の戦略として正しいことが確かだからだ。ペイサーズはエースのタイリース・ハリバートンが全休する今シーズン、NBAドラフトでの高順位の指名権を得るためにリーグの下位4チームに入ることを目指した。しかし、最後まで負けっぱなしでいるつもりはない。『ボトム4』がほぼ確実となった今、目の前の対戦相手に牙を剥くようになった。
この10日間でプレーオフ進出に向けて負けられないマジックとヒートを撃破。現地4月1日のブルズ戦ではペイサーズらしいハイテンポなオフェンスが爆発して145-126の大勝を収めた。49アシストは驚異的な数字であり、ハリバートンはもちろん、彼に代わってメインのポイントガードを務めるアンドリュー・ネムハードも、シックスマンのTJ・マッコネルも欠場だったにもかかわらず、『ペイサーズらしさ』爆発の得点ショーとなった。
クエントン・ジャクソンはシューティングガードだし、ベン・シェパードもカム・ジョーンズも得点を得意とするタイプで、純粋なプレーメーカーとしてのポイントガードが不在だった。それでも高速オフェンスが機能した理由を指揮官リック・カーライルは「このチームには質の高いバスケ選手が揃っているからだ」と自慢気に説明した。
「コービー(ブラウン)はプレーメークができるし、シェパードもイーサン(トンプソン)もハンドリングが上手い。パスカル(シアカム)はビッグマンだがポイントガードのようなプレーができる。オビ(トッピン)やジェイレン・スローソンはドライブからチャンスを作り出せる。ポジションに縛られずに多彩なプレーができる選手を育ててきた成果だよ」
WHAT A PLAY BY BEN SHEPPARD.
— Indiana Pacers (@Pacers) April 2, 2026
He goes no-look to Pascal Siakam for the SLAM 💥 pic.twitter.com/1NYUOtKZop
ハリバートンがいたら、あるいはマッコネルが先発で30分プレーしていたら、この試合では15アシスト以上を記録していただろう。しかし、チームで49アシストを記録したにもかかわらず、最多アシストはカム・ジョーンズの7で、出場した11選手のうち10選手がアシストを記録。そのすべてが3以上と、チームでボールがよく動き、どこからでもチャンスを作り出した。
「ボールにエネルギーが宿っていた。そうなれば自然とシュートも決まるようになる。ディフェンスも第3クォーターを26得点に抑えたのは良かった。全員が準備を整え、集中していた。今日の戦いぶりは素晴らしいものだった」とカーライルは言う。
ブルズもガード陣の作り出すハイテンポなバスケが売りのはずだが、ペイサーズの高速パスワークに振り回されるばかりで、自分たちのポゼッションになってもスピードに乗れない。すでに勝つ意欲を失っているチームは劣勢の試合で主力を長く起用しようとはしなかった。河村勇輝が2週間ぶりに、マック・マクラングがデビューと2ウェイ契約の選手をコートに送り出した。
ジェイ・ハフは先にカーライルが名前を挙げたようなオールラウンダーではないが、チームが良い連携を取りつつハイテンポでパスを回す中、スモールバスケットのブルズを相手にペイントエリアで身体を張って優位を作り、フィールドゴール8本中6本と決して多くはないチャンスを高確率で決めて17得点を記録した。
彼もまた上機嫌で「あと1つで50アシストだったから残念だよ」と冗談を言い、こう続けた。「でも、本当にボールがよく動いていた。プレーしていて今までにないぐらい楽しかったよ。試合序盤にあれだけボールが動いて、自分たちで作った良い流れに乗れた感じだ。パスを回して相手をローテーションに追い込めば、次のパスでワイドオープンが作れるという共通理解がある中でプレーできていた。言葉で説明するのは難しいけど、本当にチームが一つになっていたと思う」