
「彼なら正しく判断してくれると確信していました」
『東アジアスーパーリーグ(EASL)』のチャンピオンを決める『EASLファイナルズ マカオ2026』は3月22日に決勝戦が行われた。宇都宮ブレックスは、2年連続でファイナルに進出した桃園パウイアン・パイロッツから序盤に大量のリードを奪い、これを最後まで守り切り宇都宮が90-81で勝利。初の栄冠を手にした。
この試合では第1クォーターから宇都宮のオフェンスが大爆発して、10本の3ポイントシュートを決めて39-13と主導権を一気ににぎった。しかし、この大会を通じて1試合平均4.6本の3ポイントシュートを沈め、23.1得点、7.1アシストを記録して相手から最も警戒される存在だったD.J・ニュービルが、このクォーター終了間際に2つ目のファウルを犯す。そして、さらなる追い上げを見せられた第4クォーターの中盤に4つ目がカウントされる。しかし、ジーコ・コロネルヘッドコーチは彼を下げることはしなかった。
「選手がファウルトラブルに陥った時に試合終盤に備えて温存するのか、あるいはプレータイムを減らしたくないのであれば終盤に出られないリスクを承知で使い続けるのか、2つの選択肢があります。データ上は、適切な時間プレーをさせてリスクを取る方が、良い結果を生むことが多いため、私は普段からそうするようにしています」
ファウルマネジメントをベンチが行うということは、別の側面が姿を表す。「仮に完全にファウルから守ろうとして、DJ(ニュービル)を21分しか出さなかったとしましょう。確かに退場はしませんが、もし試合終了時に12点差で負けていたら、それは時間の無駄です。つまり、リスクはどちらにもあるのです」
確かにニュービルが不在の時は攻守に渡ってチームバランスが不安定な部分も見受けられた。絶対的なエースとして、コートにいるだけでディフェンスを警戒させて引きつける力、そしてベストプレーヤーにマッチアップできるディフェンス能力はスタッツに残らない影響力を発揮していた。
「DJは非常に規律正しいディフェンダーです。彼には『一つのバスケットよりも、お前がコートに残っていることのほうが重要だ。もしレイアップを許さなければならない状況なら、そのまま行かせろ』と伝えました。彼なら正しく判断してくれると確信していましたし、実際に彼は最後までやり遂げました」
そう語るように、ニュービルはファウルトラブルに陥った後も、指揮官の指示を守りリスキーな守り方はせず、簡単なドライブやシュートは許さないものの、相手が身体を寄せてくるシチュエーションではシリンダー(ディフェンスのリーガルな体勢)をしっかりと保ち、普通の選手だったら手が出てしまいそうな場面を守り切った。
この試合でニュービルは、出場していた時間帯のチーム全体の得失点差でチームトップの+13を記録して、コロネルヘッドコーチからの信頼にプレーで応えた。タイトルが懸かった試合では多少のリスクを背負うことも必要である。宇都宮の指揮官はこれまでの経験値とBリーグ制覇した自信をベットして見事に新たなタイトルを勝ち取った。この新たな経験は、Bリーグ連覇へ向けた大きな収穫になったに違いない。