ポール・ジョージ

「ここからの10試合はプレーオフの気持ちで戦う」

ポール・ジョージは2024年夏のセブンティシクサーズ加入以降、昨シーズンに41試合、今シーズンは27試合にしか出場していない。今シーズンは古傷の左膝の状態が思わしくなく開幕から出遅れ、1月末には薬物規定違反により25試合の出場停止を受けた。

その出場停止が現地3月25日に明け、彼はブルズとのホームゲームで約2カ月ぶりの復帰を果たす。その前日にジョージは会見を行い、今回の出場停止についてファンに説明した。

「フィラデルフィアの人々、僕の家族、チームメート、そして球団に今回の出場停止処分で迷惑をかけたことを謝罪したい」とジョージは言った。「僕はこのチームを引っ張るリーダーとして、またチームを勝たせるために呼ばれたのに、期待に応えられないのが何よりつらい。この期間を通して僕を支えてくれた仲間たちに感謝している」

薬物規定違反の詳細については明言を避けたが、「プロアスリートであることは身体に大きな負担が掛かる。当時はコンディションが良くない中で結果を求められるプレッシャーがあり、『僕にならできる』という思いが間違った判断を引き起こした」と、身体ではなくメンタルの部分が原因だったことを暗に示した。「これまでもメンタルヘルスの重要性について触れてきたように、僕はスーパーヒーローではなく一人の人間で、あの時には間違いを犯してしまった」

出場停止期間中は、チームと行動をともにすることはできても、試合中にアリーナに立ち入ることは禁じられていた。「プレーできる状態にあるのに仲間を助けられず、応援さえできない。遠征にも帯同したけど、試合が始まるタイミングでホテルに戻って部屋で過ごす時間はキツかった。その状況でもチームのみんなが僕を阻害せず、ずっとチームの一員として接してくれたおかげで何とか乗り切ることができた」

それでも、チーム活動にはできる限り参加し、勝敗の感情をチームメートと共有した。いつもとは違うアプローチでの貢献もあった。次の対戦相手のエースをどう抑えるかの戦術を準備する時に、仮想シェイ・ギルジャス・アレクサンダーや仮想ルカ・ドンチッチを演じたのはジョージだ。また若手のワークアウトに付き合う時間も多く取った。

「この期間に多くの若手が素晴らしいステップアップを見せた。多くの出場機会を得て、困難な状況を自分が解決しなければならない場面を経験した。彼らの成長はチームにとって大きなプラスになる」とジョージは言う。

もちろん、自分の調整も抜かりなく行った。これまで多くのケガを経験してきた彼は35歳と大ベテランの域に入り、常にどこかに痛みを抱えながらプレーしてきたのだが、この2カ月を活用することで最善のコンディションを取り戻せたと話す。

「今はコンディションがすごく良くて最高の感覚でプレーできる。このキレを取り戻せたことをポジティブにとらえているし、早く実戦で試してみたいよ」

レギュラーシーズンのラスト10試合で勢いを付け、プレーオフに挑む。今のジョージはトラブルを過去のものとして、この先に明るい未来があると信じている。

「5位まで1.5ゲーム差だよね。残り10試合、自分たちの手でコントロールできる範囲だ。できる限り高いシード順を獲得するために、もちろんプレーインを回避する意味でも、ここからの10試合はプレーオフの気持ちで戦う。25試合も休んでいれば試合勘を失っている部分も多少あるだろうけど、とにかくコートに出て思い切りプレーしたい。これまでのキャリアでやってきたことを、ただ全力でやるつもりだ」

身体のコンディションはこの2カ月で完璧に回復した。ではメンタル面はどうだろうか。ジョージは静かな微笑みとともに「プロアスリートにとって一番辛いのは、自分の身体が以前のように動かないことだ。自分に限界を感じることが精神面にも悪影響を及ぼす。でも、身体の調子が良ければ精神的にも上向くものだ。僕のメンタルは、身体のコンディションと繋がっていて、今とても良い状態にあるよ」

「懸念は試合のリズムをどう取り戻すかだけ。有酸素運動はかなりやっているけど、実際の試合の動きはまた別物だ。ただ、自分にあまりプレッシャーを掛けずに、まずは全力でプレーしようと思っている。10試合もプレーすれば、試合勘もリズムも整うはずだ」