我慢比べとなった試合で後押しとなった声援

『東アジアスーパーリーグ(EASL)』のチャンピオンを決める『EASLファイナルズ マカオ2026』が、3月18日からマカオ特別行政区で開催されている。同月20日にはセミファイナルの2試合が行われ、宇都宮ブレックスが琉球ゴールデンキングスとの死闘を制して103-96で勝利した。

試合は序盤から両チームのカラーが出る展開に。宇都宮はD.J・ニュービルと比江島慎のダブルエースが積極的に仕掛けることによってスペーシングが生まれ、2人が得点できなければグラント・ジェレット、ギャビン・エドワーズという内外でプレーのできるビッグマンが効率的に攻め込んでいく。琉球はジャック・クーリーとアレックス・カークの『ツインタワー』がピックプレーからペイントエリアを制圧。セカンドチャンスから得点をもぎ取り、オフェンスリバウンドの強さを生かしてペリメーターは積極的にシュートを狙っていく。

手の内を知り合う両者は相手の強みを消そうとするが、それを上回るパフォーマンスを発揮して観ている者にも高い熱量が必要な試合となった。宇都宮のディフェンスのトーンセットを任され、積極的に前線からプレッシャーをかけ続けた高島紳司はこう試合を振り返る。「我慢比べでした。相手はリバウンドが強いですし、ビッグマンはピック&ロール後のミドルシュートも全然落としてくれなかったので僕たちは試合中ずっと負けていた展開でした。正直に言えば、心が折れそうでした」

そう語るように、琉球のクーリーはオフェンスリバウンドを8本奪い、フィールドゴール成功率は66.8%で21得点、カークも78.6%と高い確率でシュートを決めて23得点を記録した。そして岸本隆一と松脇圭志がハンドラーとしてそれぞれ6本と4本のアシストを記録して、強みを存分に引き出していった。第2クォーター開始早々にはカークの連続得点で2桁差にされ、宇都宮が追い上げを見せようとするところで岸本が連続フローターショットで振り切ろうとする。

「本当にあきらめようと思えばいつでもあきらめられたと思います。でもベンチにいて試合に出ていない選手も含めて全員が、『まだまだいける』という声をかけ続けてくれました。勝ち負けはコントロールできないですが、何よりもここまで応援に来てくれたファンのためにも戦い続ける姿というのは必ず見せなきゃいけないと思っていたので、そういった意識でやっていました」

ベンチメンバーとファンの声援を後押しに高島はギアを上げる。ヴィック・ローにダンクを決められ32-40と8点差に広げられた残り5分30秒、タイムアウト明けから高島のディフェンスはタイトになり、3分間で琉球の得点を3点に抑えることに成功する。その間にオフェンスは機能し始め、高島も3ポイントシュートを沈めて攻守で躍動。前半終了間際にはジェレットの3ポイントシュートに繋がるオフェンスリバウンドを奪い、逆転に貢献した。

試合で発揮された日頃の習慣

ディフェンスの印象が強い高島だが、Bリーグでは平均4.2本と積極的に3ポイントシュートを打ち、この試合でも6本中2本を決めている。高島はこう言う。「最初に2本連続で外してしまったのですが、いつか入るだろうと思っていました。味方がフリーになった自分を見付けてくれたので、しっかり打とうと思っていたので、入って良かったです」。そして、後半開始直後のポゼッションでも沈めて、宇都宮の3ポイントシュート攻勢を印象付ける役割を果たした。

そしてアグレッシブなプレーによって生まれたオフェンスリバウンドはチームハイの3本を記録した。そのことについては日々の習慣と語る。「今日の試合だけに限らず、ずっとやってきたことだったので、その習慣がしっかり出せた結果です。自分でもすごい意識していたので、セカンドチャンスポイントに繋げられたことは良かったと思います」

高島のパフォーマンスは数字だけでは測れない、貢献度の高さがあった。ともに29得点を挙げスコアリングリーダーとなったニュービルとジェレットに対して感謝の言葉を口にしながらも、高島はチームで勝ち取った勝利であることを強調した。「2本、3本と落ちていたら、たぶん負けている試合だったと思うのでニュービル選手も、ジェレット選手もよく決めてくれたなと思いますし、本当に彼らには感謝したいと思います。僕は、その他の部分で貢献できればと思っていて、メインの選手に限らずですが、出てるメンバーがしっかりチームとして戦ったことで、勝てたんじゃないかなと思います」

宇都宮はこれで東アジアクラブNo.1の称号まで、あと一つと迫った。ファイナルの相手はアルバルク東京を下し、宇都宮と同じくファーストラウンドから駆け上がった桃園パウアン・パイロッツ。桃園にはグループステージで琉球相手に32得点の活躍をし、平均19.5得点を記録しているエースガードのルー・チュンシャンがいる。チーム平均90.5得点を誇る桃園の中核を高島がシャットアウトできるかが、栄冠へのカギとなる。