平下愛佳

「ディフェンスに対応してプレーする力はステップアップできました」

女子日本代表はイスタンブールで行われた『FIBA女子ワールドカップ2026予選トーナメント』に臨み、初戦のハンガリーからオーストラリア、トルコと3連敗スタート。しかしカナダ、アルゼンチンに連勝し23敗のグループ4位でワールドカップ本大会への切符をつかんだ

ベンチ入りメンバー全員のハードワークが光った日本だが、その中でも大会オールスターファイブに選出された山本麻衣と共に際立つ活躍を見せたのが平下愛佳だ。タイムシェアを重視するコーリー・ゲインズヘッドコーチの戦術にあっても試合を重ねるごとにプレータイムを増やしていき、4試合目のカナダ戦では31分出場。今大会を通して30分以上プレーしたのは、この試合の平下のみだった。

今大会、平下は5試合でチームトップの平均25.5分出場で12.4得点。3ポイントシュート成功数は山本の15本に次ぐ14本、成功率53.8%という活躍だった。大きな飛躍を遂げたこの予選トーナメントを平下は「コーリーのバスケットが今大会初めてだったのでアジャストしながらでしたけど、練習中から自分のプレーに合っているという思いはすごくありました。楽しくプレーできました」と振り返る。

平下は桜花学園時代から3ポイントシュートや速攻での得点や、粘り強いディフェンスを可能にする豊富な運動量と機動力に定評があった。さらに今の彼女は、的確な状況判断から効果的なカットインも武器としている。その結果、3ポイントシュートを警戒する相手の裏をかいてのゴール下へのカットインによる得点も増え、的を絞りにくい選手になった。

平下自身も、今大会は確かな成長を得た大会となったと話す。「前に世界大会に出た時は、3ポイントシュートを抑えられると得点が伸びないことが大きな課題でした。今回はしっかりと走るプレーや合わせのプレーで点を取れて、1つ成長できました。3ポイントシュートにこだわりすぎず、ディフェンスに対応してプレーする力は、これまでに比べてステップアップできました」

平下愛佳

指揮官「近い将来、私たちにとってのスター選手になる」

ゲインズは、平下について「私は彼女のことを『ルル』と呼んでいます。前からトモ(宮田知己アシスタントコーチ)に彼女について聞いていましたが、コンディションの関係から昨年のアジアカップには招集できませんでした。彼女は私たちが必要としているモノを与えてくれる選手です。本当にすごい3ポイントシュートを持っていますし、よく走ってくれます」と期待を寄せる。

そして周囲の状況に影響されず、常に自分の仕事を貫ける強さを持っているというポジティブな意味で、「彼女はオールドスクールの選手です」と称える。

「ルルはハードに走り、ハードにプレーして、シュートを打つことに専念してくれます。こういったことをやり抜ける強さは教えられるものではなく、彼女の心に備わっているものです。彼女にとっては普段からやっていることで、特別なことをしているという感覚はないでしょうが、彼女のこういったプレーは私たちにとって重要です。だからこそ私は彼女を先発に起用しました。近い将来、彼女は私たちにとってのスター選手になるでしょう」

しかし平下自身は、日本のスター選手になったり、チームを引っ張ろうとは意識せず、自分の役割を果たすことにフォーカスしていたと明かす。「自分のプレーをしっかりやらないといけない思いが強かったです。大会は自分でチームを引っ張ることより、自分の良いところをどう出すかを意識してプレーしていました」

大会を振り返ると、チーム自体は大きな波があったが、平下は5試合のうち4試合で12得点以上と、高値安定で自分の仕事をやり通した。この点については、本人も「今大会、良かったのは本当にこの部分だと思います」と好感触を語る。そして、これからすぐに始まるWリーグのプレーオフに向け「リーグ戦でも点が取れない時期がありました。そういう経験を乗り越えて、今大会では常に点を取ることができたのは良い経験になりました。これをプレーオフに繋げていきたいです」と意気込む。

今月末に始まるWリーグのプレーオフで、世界との過酷な戦いを通して確かな成長を遂げた平下がどんなプレーを見せてくれるのかも大きな注目ポイントだ。