写真=Getty Images

昨年『悪夢』を経験しているだけに気の緩みは一切なし

キャバリアーズとのNBAファイナル第1戦に快勝したウォリアーズ。今シーズンを通して対戦相手を苦しめている、堅守から攻撃へ瞬時に切り替えるトランジションが第1戦でも大きな武器になり、第2クォーター中盤から試合を支配し続けた。

これで今年のプレーオフ開幕から前人未到の13連勝をマークしたウォリアーズだが、試合後の会見で勝利に浮かれる選手は誰一人としていなかった。これも昨年、3勝1敗からの大逆転負けを喫した『悪夢』を経験しているからだろう。ドレイモンド・グリーンは「20点差は良い展開だけれど、彼らには逆転する力がある」と言う。

「試合を通して完勝ムードになんてならなかった。ハーフタイムにも『良いプレーができている』と言うだけだったよ」

キャブズが犯した最大のミスは、ウォリアーズの3ポイントシュート対策に固執したことだ。ウォリアーズはこの裏を突き、ドライブで果敢に仕掛けた。ケビン・デュラントがダンク、ステフィン・カリーがレイアップ、ミドルレンジからのジャンプシュートを連発した。

もはや『3ポイントシュート・チーム』ではない

38得点を荒稼ぎしたデュラントのオフェンスについて、グリーンはこう称賛する。「デュラントは、いつだって彼が好きな時に仕掛けられる。彼は7フィート(213cm)の選手で、ほとんどのケースの場合はマッチアップする相手より高い視線でゴールを見られるから、酷いシュートが少ない。それに、相手のディフェンスは3ポイントシュートへの対策が基本だった。前半、トランジションからのプレーを決めた場面で意識が外に向いていたから、彼は簡単にダンクを決めていたよ」

偶然に噛み合ったわけではない。相手のディフェンスを見て、すぐにアジャストして得点の流れを生み出すことのできる自信をグリーンは語る。「相手が3ポイントシュート対策をしているのに、打ちたいからという理由だけで打ったりはしない。もしレーンが空いていたら、フィニッシュに行く。そうなると、たいていの場合は守備が緩くなるから、それで3ポイントシュートが決まるようになる」

デュラントもカリーも、会見では「もっと良いプレーができる」と主張していた。グリーンも同様に「今日は、普段なら決めているようなイージーなシュートを外してしまった。次は必ず決める。それに、相手のディフェンスに対応する形を続ける」と語った。

昨年のオフにデュラントが加入した時点から予測はできたが、もうウォリアーズは単なる『3ポイントシュート・チーム』ではない。1年かけて作り上げたケミストリーを軸とする新チームのスタイルは、ここにきて完成の域に達しようとしている。