クレイ・トンプソンはNBAプレーオフ新記録となる1試合11本の3ポイントシュートを決める
西カンファレンスのファイナル第6戦。地元に戻ったサンダーはここで勝ってシリーズを制したい。1勝3敗と追い詰められてから一つ星を取ったウォリアーズは、ここで逆王手を掛けてホームでの最終戦へと持ち込みたい。お揃いのブルーのTシャツを着た地元ファンで埋まった会場で、サンダーが試合の主導権を握る。
まずはディフェンス。高い位置からプレッシャーを掛け、サイズの利を生かしてリバウンドを制する。スティーブン・アダムズがリング下でどっしりと構え、サージ・イバーカなどチームメートがそれをサポートする盤石のシフトで、スモールラインナップのウォリアーズを相手に制空権を得る。地上戦では両エースであるケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルックを中心に相手に息つく余裕を与えない。
攻撃ではラッセル・ウェストブルックが、エゴイスティックなプレーを封印して周囲を生かす。特に目立ったのはエンドラインのスペースに走る味方に合わせるパス。ゴール下に良い形でボールを入れられればサイズの優位が生かせる。この形でウォリアーズを守勢に追いやる。
前半を53-48で折り返したサンダーは、後半も100%の集中を保ってゲームを進める。第3クォーターも30-27でサンダー。最高のタッチを見せるクレイ・トンプソンが3ポイントシュートを次々と沈めていたが、それに負けないペースでサンダーも得点を重ねていた。第4クォーター開始時点でスコアは83-75とサンダーが8点リード。最終クォーターもそれまでと変わらぬ流れで時計の針は進んでいった。
試合の流れが変わったのは第4クォーター残り5分を切ったところ。トンプソンがこの試合10本目となる3ポイントシュートを決めて、ウォリアーズが96-92と4点差まで詰め寄る。残り3分58秒でステファン・カリーの3ポイントシュートで97-96と1点差に。そして残り2分47秒、カリーがまたも3ポイントシュートを決め、99-99とついに同点に追い付く。
サンダーもスプラッシュブラザーズに好き放題に3ポイントシュートを打たせていたわけではない。しっかりと前をふさぎ、プレッシャーを与えていた。それでもなお、トンプソンもカリーも長距離砲を落とすことなく沈めてきたのだ。
残り1分35秒、トンプソンがまたも3ポイントシュートを決め、104-101とウォリアーズがリードを奪う。この2分半、アンドレ・イグダーラが1本外していたものの、トンプソンとカリーは4本の3ポイントシュートを放ってすべて決めていた。
この常識では計ることのできない決めっぷりを前に、サンダーは平静さを保てなかった。まだ慌てる必要はないにもかかわらずデュラントが可能性の低い3ポイントシュートを狙って外し、ウェストブルックは軽率なターンオーバーを犯す。リードを奪われて以降のサンダーは、それまでとは打って変わってナーバスになり簡単なミスを連発。勝負どころで失速し、ウォリアーズに蹂躙されてしまった。
トンプソンは41得点を記録。3ポイントシュートはNBAプレーオフ記録となる11本を決め、41得点の活躍。カリーは前半こそエンジンが掛からなかったが、最終的に6本の3ポイントシュートを含む31得点を挙げている。殊勲のトンプソンはこうコメントしている。「第4クォーターに入る前、ステフ(カリー)から『君がやるべき時だ』と言われたんだ。その言葉を胸に、ただアグレッシブにトライしようとしたのさ」
サンダーにとっては痛すぎる一敗。ほとんどの時間帯でリードを奪い、攻守に完璧とも言うべきパフォーマンスを見せながら、最後の最後でウォリアーズのバスケットに屈した。「これだけのプレーをしたのに、その上を行かれた」とショックを受けていることだろう。これで3勝3敗と逆王手を掛けられ、最終戦は敵地。まずはメンタル的に立ち直り、ただしいアプローチでティップオフを迎えることが必要だ。