『止められないスーパースター』を止めた勝利の立役者

滑り込みでプレーインを狙うバックスにとって、4ゲーム差で迎えた10位ホークスとの直接対決は重要な試合でした。復帰直後でプレータイム制限があるヤニス・アデトクンボは、最大限のリードをもたらすべく積極的なアタックを繰り返し、試合開始6分で10得点を奪い、バックスは第1クォーターで13点のリードと好調な滑り出しとなりました。

第2クォーターになるとベンチメンバーのホークスが追い上げますが、コートに戻ったヤニスがオニエカ・オコングのディフェンスを簡単に抜き去ってのレイアップで、ホークスに傾いていた流れを断ち切ります。『止められないスーパースター』の存在はバックス最大の武器であり、ヤニスを止めない限りホークスに勝機は生まれないことを象徴するかのようなプレーでした。

このプレーからホークスはディフェンスプランを変更します。ヤニスのマッチアップを担当したのは、ガードのダイソン・ダニエルズ。それまでアウトサイドからのドライブでイージーな得点を生み出していたヤニスですが、ダニエルズはフットワークの良さでコースを塞ぎ、ポストアップに対してもフィジカル負けせずに良いポジションを取らせません。

ダニエルズの執拗なマークを嫌がったヤニスは、スクリーナーを使ってマークを剥がしにいきますが、ホークスはダブルチームを仕掛けてヤニスにパスをうながします。するとダニエルズは即座にオフボールでのローテーションに移行し、オープンショットを許しません。結局、マッチアップ変更からバックスのオフェンスを停滞させ、特に後半はわずか42得点に抑え込み、終わってみれば131-113と18点差での快勝となりました。

ダニエルズはサイズ差のあるヤニスを抑えただけでなく、オフェンスではドライブやカッティングでチームハイとなる14ものペイント内得点を奪い、さらに4つのオフェンスリバウンドでセカンドチャンスも生み出し、攻守に渡ってホークスのインサイドを支えました。

今シーズンのダニエルズは3ポイントシュート成功率が12.8%しかなく、アウトサイドでの得点力不足が話題になりますが、面白いことにホークスの3ポイントシュートは、ダニエルズのオンコート時は37.9%の成功率なのに対し、彼がベンチに下がると34.8%まで低下します。

センターのオコングやジョック・ランデールも積極的に3ポイントシュートを打っていくホークスのオフェンス戦術において、ダニエルズは実質的なセンター役としてインサイドを攻める役割を担っており、キックアウトでのアシストも多く、チームのバランサーとして機能しています。

この試合でもホークスは20本の3ポイントシュートを決めて131得点を奪いました。チームカラーとは真逆の特徴を持つダニエルズの貢献度は非常に大きく、オンコート時の得失点差はチームハイの+21。時には3ポイントシュートも決めてほしいところですが、ダニエルズの見事なプレーが勝利をもたらしました。