ビクター・ウェンバニャマへの複数の対策が効力を発揮

スパーズとニックスが対戦したNBAカップ決勝は、この1試合のために両チームが入念な対策を準備したことが分かる展開となり、その対策を打ち破ったニックスが終盤に一気に抜け出し、124-113で勝利しました。

準決勝とは異なり、第1クォーター開始5分と早い時間にビクター・ウェンバニャマが登場すると、ニックスは即座にタイムアウトを使ってOG・アヌノビーがウェンバニャマに、カール・アンソニー・タウンズがハリソン・バーンズにマッチアップします。これが第2クォーターにウェンバニャマが出てきた時はタウンズとミッチェル・ロビンソンを並べて高さで対応するなど、ニックスはウェンバニャマへ複数の対策を講じてきました。

一方でスパーズも3ポイントシュートが上手いタウンズにウェンバニャマをマッチアップさせることは避け、時にはステフォン・キャッスルでアウトサイドまで追いかけてきました。お互いに特殊な武器を持つ相手センターを警戒する形の前半となりました。

その隙を突いたのはニックスで、アヌノビーが次々とゴール下にアタックしていき前半だけで20得点を奪います。一方のスパーズはディアロン・フォックスとキャッスルが2人で15アシストとガードからの展開で得点を量産。お互いに対策されたマッチアップ以外のところで攻略していく前半は61-59でスパーズが2点リードとなりました。

後半になるとニックスはアヌノビーをフォックスにマッチアップさせ、オフェンスの起点を潰すことを優先します。開始早々に2つの3ポイントシュートをフォックスに決められますが、以降はフリースローでの1点のみと、ディフェンスの変更が機能します。

それでもウェンバニャマがコートに出てくると止めようがない高さでのアリウープを決められれば、ディラン・ハーパーには試合を通して5本の3ポイントシュートを決められるなど、インサイドでもアウトサイドでも苦しみます。しかし、ミッチェル・ロビンソンを投入して高さとフィジカルで対抗しつつ、ジェイレン・ブランソンにタイラー・コレックとジョーダン・クラークソンを並べたスモールラインナップでのトランジション勝負に打って出ることで、試合の流れを変えます。

勝負の第4クォーター。ニックスはクラークソンが3ポイントシュートで追い上げ、コレックはリバウンドとアシストで貢献。ベンチメンバー2人の得点で逆転に成功すると、ブランソンが得意のミドル、ジョシュ・ハートとアヌノビーは3ポイントシュートと全員が得点にからんでリードを広げていきました。

これに対してスパーズは4ガードの運動量で対抗し、ウェンバニャマに打たせる形を作るも、シュートが外れ続けます。試合を通して18得点を奪ったウェンバニャマですが、ロビンソンとのマッチアップで疲弊したことで、第4クォーターはすべてペイント外からのアテンプトとなり、そのすべてが外れました。フォックスとウェンバニャマの両エースが終盤に失速したスパーズに逆転のチャンスは生まれませんでした。

MVPには25得点8アシストのブランソンが選ばれましたが、ニックスはスターター5人とクラークソン、コレックが2桁得点、さらにロビンソンが10ものオフェンスリバウンドを奪い、全員がキーマンとなりました。何よりヘッドコーチのマイク・ブラウンのハーフタイムでの修正が見事に機能したことが勝利をもたらしました。