
「彼らがいなかったらチームも優勝していなかった」
NBAカップのファイナル、試合を通じてスパーズがリードする時間帯が長かったが、ニックスは89-94で始まった第4クォーターを35-19と圧倒した。結局のところ終盤の勝負強さこそがチームの真価であり、ニックスはそこで勝者であることを存分に示した。
ニックスでは多くの選手が活躍し、チーム力で勝利を収めた。しかし、第4クォーターで唯一フル出場したという意味で、ジェイレン・ブランソンの存在感は抜きん出ていた。試合を通して25得点8アシストを記録し、大会のMVPに輝いたブランソンは、「目標の一つを達成できたことに興奮している」と語った。
「10点ビハインドになったり10点リードしたり、アップダウンの激しい試合だったけど、何とか勝ち筋を見つけることができた。それが僕らのアイデンティティなんだ。僕らは常にコートに出て戦う。負けることもあるけど、その時は相手チームを称えてまた前に進む。つまり、僕たちは絶対にあきらめないんだ。美しいバスケができない時でも、何とかして勝つ方法を見つけ出す。勝つにはいろんな方法があって、今日はベンチメンバーがそれをやってくれた」
ミッチェル・ロビンソンは第4クォーターの7分間だけで6つのオフェンスリバウンドを記録。前半はファウルトラブルに苦しんだが、大事な局面で重要な役割を果たした。ジョーダン・クラークソンは第4クォーターに9分半プレーし、同点の3ポイントシュートと逆転の3ポイントシュートを立て続けに決めて試合の流れを大きく変えた。そしてタイラー・コレックは第4クォーターにジョシュ・ハートより優先されて10分半プレー。キャリア2年目の24歳が、大一番でニックスの『秘密兵器』となった。
「彼らがいなかったら僕はMVPのトロフィーを手にしていないし、チームも優勝していなかった」とブランソンは言う。「だから、彼らの働きを称えるのは当然のことだ。僕にとって重要なのは、コートに出て良いプレーをし、チームの勝利に貢献する選手全員の働きぶりが認められることだ。それがスタッツには表れないプレーであってもね。たとえばタイラーがチャージングを取ったプレー。判定が覆されてファウルになったけど、彼の身体を張ったプレーが僕らの闘志に火を付けた。彼は大仕事をやってのけたんだ」
「今日の僕はあまり調子が良くなかった。シュートは入らなかったし、くだらないターンオーバーもあった。でも、そういうミスの尻拭いをしてくれる仲間がいる。そう思うと僕は自信を失わずプレーできる。そうやって勝つ道筋を見いだすんだ。つまり……最高の気分ってことさ(笑)」
NBAカップの優勝の価値は、受け止める人それぞれだろう。リーグの優勝に比べれば取るに足らないかもしれないが、ニックスにとっては自信の根拠となる。このカップ戦ファイナルはリーグ戦の勝敗にカウントされないが、今のニックスは18勝7敗で東カンファレンス2位と好位置につけている。ブランソンの力だけで勝ったのではなく、チーム一丸の努力でこのタイトルを手にしたことは、ニックスをもう一つ上のレベルに押し上げるきっかけになりそうだ。