須藤昂矢

「やらないといけないことをしっかり遂行して勝てた」

11月15日、横浜ビー・コルセアーズはホームで滋賀レイクスと対戦。強度の高いディフェンスによってここ一番で流れを引き寄せ、89-80で競り勝った。

試合の出だし、横浜BCはエースの安藤誓哉が第1クォーターだけで3本の3ポイントシュートを沈めてチームを牽引。滋賀もベンチスタートのトーマス・ウインブッシュが5分間で10得点を挙げる活躍で応戦する。滋賀は前半だけで10本成功と3ポイントシュートが好調だったが、横浜BCもインサイドアタックが効果的に決まり45-46と互角でハーフタイムを迎える。

後半に入っても接戦は続いたが、横浜BCは最終クォーターに守備のプレッシャーを強めたことで、滋賀にイージーシュートをほとんど打たせなかった。特に2点リードの残り6分半から残り25秒までを無失点に抑え込むなど、第4クォーターの滋賀のフィールドゴールを11本中わずか3本成功の10失点と封じることで横浜BCが勝利した。

横浜BCは12日の水曜ゲームで秋田ノーザンハピネッツに敗れ、この試合の前まで11月は1勝5敗と結果がついてこなかった。こうした状況での勝利にラッシ・トゥオビヘッドコーチは「水曜日の秋田戦で負けてしまいヘッドダウンしてしまったところがありました。この試合になんとしても勝たなければいけない気持ちが強かった中、自分たちがやらないといけないことをしっかり遂行して勝てたのはうれしいです」と安堵の表情を見せた。

そしてタフな敗戦からカムバックできた理由を「99%選手たちのおかげです」と語る。「昨日の練習前、選手たちだけでミーティングをしました。その後でものすごく高い強度で練習ができたのはカギだったと思います。23日間で11試合もある中、良い練習をするのは簡単なことではないです。それが今日の試合に繋がりました。選手たちには『水曜日の負けや日曜日の試合のことは忘れよう。まずは土曜の試合に全力を尽くして勝とう』と話しをして、全員が同じ方向を向いてくれたからこそ、この結果になったと思います」

須藤昂矢

「お互いを信頼してチームディフェンスをやろう」

横浜BCの須藤昂矢はコンディション不良から欠場が続いたが、この試合で11月2日以来の出場を果たすと、17分22秒のプレータイムで8得点を記録。持ち味のタフなディフェンスでも存在感を発揮して復帰初戦で勝利に貢献した。

須藤は「ここ数試合、ディフェンスでソフトになっていたのが問題と思っていました。自分としてはディフェスの身体を張るところで良い影響を与えたいと試合に臨みました。チームとしても、40分間タフに戦えましたし、ディフェンスがしっかりできたのが良かったと思います」と勝因を語る。

また、「(欠場して)ベンチで見ていることしかできなかったのはタフでしたし、もどかしさはありました。ただ、外から見ている分、より俯瞰的にチームとして何ができていないのかを見ることができました。この経験も踏まえて自分がチームにエネルギーを与えられるように試合に入りました」と、ベンチから試合を見るしかないことで得られた経験を生かした。

そしてチームを立て直すきっかけになり、トゥオビヘッドコーチも称えた選手だけのミーティングで得られた気づきについて明かしてくれた。「それぞれが今思っていることを話す中、最近ディフェンスでソフトになってしまっていた要因として、5人で守るチームディフェンスの意識が少し薄れていた。それぞれ個人で自分のマークマンのことだけにフォーカスしていた部分があり、お互いを信頼してチームディフェンスをやろうと話し合いができました。今日の試合は全員で守る意識が高いディフェンスができました」

須藤昂矢

「タフに戦い続けることで、自分たちのバスケットボールを表現できる」

欠場時にチームが苦しんだことも含め、今日の勝利への貢献度からしても、須藤の存在感は大きい。フィジカルの強さを生かした激しいディフェンスに加え、3ポイントシュートやドライブなどオフェンス力の進歩も著しい須藤は、「チームに欠かせない存在になっていきたいです」と主力としての強い自覚を持っている。

「自分はディフェンスマインドの選手だと思っています。まずはディフェンスでチームに安定感を与え、自分から率先してアグレッシブに行くことで守備のトーンをセットする。そしてオフェンスでは得点力が高い選手が周りにいっぱいいますが、彼らスコアラーが苦しくなった時に助けられる存在になりたいと思います」

明日の試合が終われば約3週間のバイウィークに突入する。須藤は「開幕節で連勝して以降、うまくいかなくなりました。自分たちとして何を改善すれば悪い状況を打開できるのか、それぞれ思うところがあったり、迷う期間が長かったと思います」と語るが、今日の勝利は自分たちが進むべき道を明確に示すモノとなった。

「タフに戦い続けることで自分たちのバスケットボールを表現できると、この試合で共通認識として持てたと思います。自分たちは点の取り合いで勝つチームではないです。ディフェンスでいかにタフにプレッシャーをかけ続けられるかが大切で、今日のような試合が勝ちパターンだと思います。タフに戦う試合をもっと増やしていければ、違うチームになっていけます。ここまですごく苦しい期間でしたけど、今日は大きな勝利でした。これからはディフェンスマインドをより強調してチームで戦っていきたいです」

こう須藤が振り返ったように。今の横浜BCは自分たちの根幹が堅守にあることを共通認識として持てている。この認識をよりチームに浸透させるためには成功体験こそが重要で、明日のゲーム2にも勝って同一カード連勝でバイウォークを迎えたい。そのためには須藤の攻守に渡る活躍が必要だ。