
サンズを相手に終盤に猛追を見せるも114-123で敗れる
ニコ・ハリソンを解任したことで、ファンの溜飲は下がる。しかし、マーベリックスの問題は何一つとして解決していない。現地11月12日のサンズ戦、最大18点差のビハインドから巻き返し、第4クォーター残り2分を切ったところで3点差まで追い上げたが、23得点のグレイソン・アレンと26得点のデビン・ブッカーのクラッチ力に屈して114-123で敗れた。
アンソニー・デイビスはいまだ復帰できず、PJ・ワシントンが試合序盤にケガをしたことも含めて戦力が足りなかった。それでも終盤を接戦へと持ち込む意地を見せたのは、マブスの選手たちのプライドだろう。
これで3勝9敗と低空飛行は続いている。今のマブスにとってはケガ人による戦力不足よりも、チームが進むべき方向性を見失っていることが問題だ。ハリソン解任後、彼の下でアシスタントGMを務めた2人がチーム編成を担うが、この窮状に必要な手を打てるとは思えない。
オーナーが現場介入してGM解任を決めたのは良いが、新たな方向性を打ち出さない限り、チームは前進できない。デイビスの復帰が待たれていたが、今は復帰してどんなプレーをするかよりも「トレードすべきか」が議論となっている。ファンは忌まわしきドンチッチ放出の痕跡を消し去りたいのだろうが、デイビスにとっては非常にプレーしづらい状況が生まれている。
クレイ・トンプソンも同じかもしれない。彼が昨年オフにマブスへの移籍を選んだのは、ルカ・ドンチッチとプレーするためだった。クーパー・フラッグという新たな逸材がいるとしても、彼の成長を待てるほどクレイは若くない。そもそもドンチッチ抜きではシューターの価値は半減してしまう。
しかし、このサンズ戦でクレイはチームハイの19得点と気を吐いた。彼ほどの実績のある選手が、行き先を見失ったチームで控えの役割を受け入れるのは簡単ではないだろう。それでも彼は、この試合でのベンチスタートを「楽しんでいた」と語る。
「試合がどう展開するのかを見てからコートに入るので、自分のスポットを見極めることができる。今日はプレータイムが30分あったから楽しめたよ。キャリア15年目になるけど、できる限り長くコートに立っていたい。今シーズンはチームの中で最も安定したパフォーマンスを見せるのが僕の目標なんだ」
クレイにとってのハリソンは、キャリア初の移籍を実現させた人物というだけでなく、長年の友人でもある。「同じ街の出身で付き合いが長いからね。彼の成功を祈っているよ。トレードも解雇も、ビジネスの最も厳しい部分だ。決して楽しいことじゃない。でもそれはバスケに限らず、どんなビジネスにも言えることだ」
クレイもプロフェッショナルとして、自分の置かれた立場でベストを尽くすことに集中している。ハリソンの解雇でポジティブなのは、ファンがチームに歩み寄ったことだ。前の試合では接戦の終盤にマブスの選手がフリースローを投じる際、ファンが「ニコを解雇しろ」のチャントで集中を妨げた。この試合でそんなシーンは起こらず、ダラスのファンは終盤の猛反撃を大歓声で支えた。
「会場の雰囲気は素晴らしかったと思う。僕らに力を与えてくれた。勝てなかったけど、これからの試合でも応援してくれる人たちに僕らは何かを提供しなきゃいけない。だから毎試合でベストを尽くすよ。ファンは辛い経験をした。次はチームから良い何かを与えられるべきだ」