「控え選手がネクストマンアップの気持ちでプレーしてくれた」
11月9日、三遠ネオフェニックスはホームで琉球ゴールデンキングスと対戦。前日の第1戦ではディフェンスで踏ん張りきれずに大量失点で敗れた三遠だが、この試合は40分間を通して全員がハードワークを続けることで、リーグ随一のサイズとフィジカルを誇る琉球を相手にゴール下の肉弾戦で当たり負けしなかった。リバウンドを取り切ることで、持ち味のトランジションを効果的に繰り出し、83-81の激闘を制した。
第1クォーター、三遠はこのクォーターだけで7つのオフェンスリバウンドを奪取。琉球より10本多いシュートを放ち、ポゼッションゲームを圧倒することで先手を取ると、そのままリードを保って前半を終える。後半になっても三遠は津屋一球、根本大らが効果的に3ポイントシュートを決めるなど、主導権を握り続け、第4クォーター残り5分で11点リードと試合を優位に進める。
しかし、ここからアレックス・カークを軸とした琉球のインサイドアタックに追い上げられ、残り35秒で3点差にまで肉薄される。それでも、最後まで集中力を切らさなかった三遠はここ一番で琉球の反撃を食い止め、なんとか逃げ切った。
三遠のデイビッド・ヌワバは34分30秒と文字通りのフル稼働で30得点10リバウンド5アシストと大暴れだった。勝利の立役者は「故障者が多い中でベンチメンバーがその穴を埋めるべく、ネクストマンアップの気持ちでプレーしてくれました。全体的に良いゲームだったと思います」と振り返る。
現在の三遠は、昨シーズンのチャンピオンシップで左アキレス腱断裂の重傷を負った先発ポイントガードの佐々木隆成に加え、ゴール下の要であるヤンテ・メイテン、得点源の新戦力ダリアス・デイズと、中心メンバーが3人も戦線離脱している。この苦しい台所事情もあり、ヌワバは1試合35分前後の出場が珍しくないフル稼働が続いている。
しかし、本人は「ここまでとても良いコンディションです。疲れたら交代してもらえます」と、特に問題はないと語る。そして、69-92で敗れた前日の第1戦で19得点を挙げるも、前半はわずか3点に終わったことを教訓とし、今回の活躍に繋げたという。「大事なのは最初から全開でプレーし、すべてを出し尽くすことです。昨日は長い時間プレーするからと、出だしでペース配分を考えたのが失敗でした。今日は最初から全力でアタックしていきました」

「若い選手たちが台頭してくれることに自信を持っています」
佐々木、メイテン、デイズの不在により、今のヌワバはチーム一の得点源となっているが、「僕のやるべきことは変わりません。常にアグレッシブにゴール下へとアタックする。そしてズレを作って味方を信頼してパスを出す。すべてはチームで戦うことです」とチームファーストのスタンスは変わらない。
このようにチャンスを生み出すことを大切にするヌワバは、「今、いろいろな選手たちが多くのシュートを打っています。みんな、チャンスが来たら打つ準備ができています。例えば(根本)大は昨日出番が多くなかったですが、今日は(3ポイントシュート3本中3本成功の13得点と)ステップアップしてくれました」と続ける。
そして「若い選手たちが台頭してくれることに自信を持っています。今のメンバーでも十分に勝てる力を持っています」と仲間を信頼している。
今日の勝利で三遠は7勝8敗となった。来週の3試合を終えれば、約3週間のブレイクに突入する。ヌワバは「来週を良い形で終えてバイウィークを迎えたいです。バイウィーク明けには戻って来られる選手もいると思いますし、復帰した選手と一緒にチーム力を高めていけるのが楽しみです」と意気込みを語る。
故障者続出の非常事態にあっても、今の三遠は上位に手の届く位置に踏みとどまっている。それはヌワバの献身的な働きがあってこそだ。
