ハーデン、ポール、ビールはキャリア初優勝を目指す
サンズを退団したブラッドリー・ビールを迎え入れ、さらにクリス・ポールの帰還も決まり、再びスーパースター軍団となったクリッパーズ。高年齢化は気になるものの、充実した戦力で開幕を迎えます。
昨シーズンはポール・ジョージが退団し、カワイ・レナードが45試合を欠場したにもかかわらず、ジェームズ・ハーデンを中心に全員が自分の役割をこなしチームとして機能することで50勝を挙げました。スター選手が揃ったパワーハウスのロスター構成とは異なり、ディフェンス力の高いクリス・ダンとデリック・ジョーンズJr.、シュート力の高いノーマン・パウエルなど、各選手の特筆した武器を組み合わせるチームとしての強さが目立ちました。
その中でもオールディフェンシブ・セカンドチームに選ばれたイビチャ・ズバッツは、高いカバーリング能力でディフェンスの要となり、オフェンスでも高確率のフィニッシュでインサイドの得点源として大活躍。オフコート時の得失点差がチームで唯一のマイナスになっており、代役のいない存在へと成長しました。
今オフはビッグマンの控えとして、ズバッツとは異なるストレッチタイプのブルック・ロペスを獲得するとともに、センターでもウイングでもプレーできるジョン・コリンズもトレードで手に入れ、ディフェンスの安定感が高まりました。オフェンス面でもロペスをセンターにおいて5アウトでのハーフコートオフェンスを組み立てることもできれば、コリンズをセンターに置くスモールラインナップでトランジション勝負も可能。戦い方の幅は大きく広がっています。
しかし、インサイドが充実した一方でアウトサイドからのシュートには一抹の不安も残ります。パスキャッチと同時に飛び上がるクイックリリースから信じられないようなタフショットでも次々と沈めてきたパウエルが放出され、オンボールで仕掛けるビールに代わることで、オフェンスのテンポが落ちることと、何より欠場リスクが高まりました。個人としての得点能力は圧倒的にビールの方が上ですが、チームとしての機能性の高さで構成されてきたクリッパーズの強みは、タイプの違うスコアラーを加えたことで変化を余儀なくされます。
シーズンで良い成績を残してもプレーオフで勝てないのは、選手が入れ替わっても『ロブシティ』時代から続くクリッパーズの特徴となっています。帰還したクリス・ポールは負の歴史を塗り替え、悲願のチャンピオンリングを手に入れることができるのか。スーパースター軍団のチャレンジが始まります。