篠山が牽引する川崎、辛抱してチャンスを待つSR渋谷
チャンピオンシップのクォーターファイナル第1戦。川崎ブレイブサンダースとサンロッカーズ渋谷が対戦した。
序盤は篠山竜青がわずかに空いたスペースから2本の3ポイントシュートを沈め、川崎が主導権を握る。トランジションからライアン・スパングラー、辻直人の速攻が決まり、開始5分で21-11と早々に点差を2桁に乗せた。
だがSR渋谷は動じず、ロバート・サクレがダブルチームをものともせずインサイドで力を発揮し10得点を挙げ反撃。広瀬健太やアイラ・ブラウンがオフェンスリバウンドでポゼッションを増やし、アキ・チェンバースが3ポイントシュートとドライブから9得点を挙げ、26-27と詰め寄り第1クォーターを終えた。
第2クォーターに入ると互いに強固なディフェンスで得点を許さず、イージーシュートを打つ機会は減少していく。差が出たのは3ポイントシュートだった。SR渋谷はドライブからのパスアウトなどシュートセレクションは悪くないが、第2クォーターの3ポイントシュートは7本打って成功なしと肝心のフィニッシュが決まらない。一方の川崎は我慢の時間帯で辻直人と栗原貴宏が3ポイントシュートを沈めリードを広げた。
45-36とリードして後半を迎えた川崎だったが、広瀬がスティール王の実力を発揮し、狙いすましたスティールや2本の3ポイントシュートによって猛追される。
アキ痛恨のファウルアウトでSR渋谷は一歩及ばず
63-60で始まった第4クォーター、伊藤駿のアウトサイドシュートで1点差に迫られるも、篠山がここで再び流れを引き寄せる。インサイドをケアするSR渋谷の一瞬の隙を突き、2本連続の3ポイントシュートを沈め、残り8分21秒の時点で69-62と突き放す。ここから川崎はディフェンスの強度を増して逃げ切り態勢に入った。
SR渋谷はオフェンス好調のサクレを軸に追いかけるが、どうしても攻めが単調になり流れをつかむことができない。オフィシャルタイムアウト明けの残り4分2秒、BTテーブスヘッドコーチは勝負どころと判断し4ファウルのアキ・チェンバースをコートに戻す。約20分間の出場で11得点2スティールと攻守に存在感を示していたアキが攻撃に変化を付けることで、状況を打開しようとしたのだ。
だが、直後のディフェンスで、辻の3ポイントシュートに対しチェックに行ったアキの身体が触れたとみなされ、ファウルをコールされる。SR渋谷にとっては痛すぎる退場劇。そして辻にフリースロー3本を確実に決められ、68-78と点差を2桁に乗せられると、アキを失ったSR渋谷に挽回の手はなかった。結果、89-75で川崎が第1戦をモノにしている。
勝負を分けた3ポイントシュートとフリースロー成功率
サクレが31得点、ブラウンが12得点と、チーム総得点の半分以上を2人で稼ぎ出したが、バランスの悪さは否めない。逆に川崎は絶対的なエースであるファジーカスが18得点と、彼にしては得点が伸びなかったが、スタートの5選手が揃って2桁得点を記録している。
川崎の北卓也ヘッドコーチは「選手が最後まで集中してプレーしてくれたおかげ」と選手を称えた。
「ウチは3ポイントシュートが良く入って、渋谷さんは低かった。フリースローも渋谷さんが低くて流れが向こうに行かなかったというのが大きかった」と語るように、川崎は12本の3ポイントシュートを48%という高確率で成功させた(渋谷は5本、23.8%)。フリースローもSR渋谷は17本中8本しか決められず、自ら反撃のチャンスを潰してしまった。
テーブスコーチは「勝てる可能性がある試合を落とし、内容よりもまず負けたことが本当に残念です」と悔しさをにじませた。「ディフェンスは自分たちが用意したプランが出せたと思います。リバウンド数でもペイントの中を支配できた」と話すように、得点王のニック・ファジーカスを18点に抑え、川崎の26本に対し47本のリバウンドを獲得した。
それでも敗れた理由について「川崎さんのディフェンスのレベルがもう一段階上がった」と分析する。「プレイングタイムが偏り、サクレや広瀬、アイラは疲れから足が動かなくなってきたというところもあると思います。良いことではあったが一人に得点が偏ってしまい、チームのオフェンスのバランスという意味で最後にそれが出てしまった」と、突き放された終盤の時間帯を冷静に分析した。