
「みんなにとって良きチームメートになりたい」
ガ-ション・ヤブセレは昨シーズンに『第2のブレイク』を果たした。セルティックスで結果を出せずにNBAを離れた時期を経て、パリオリンピックでの活躍がきっかけとなりセブンティシクサーズでNBA復帰を果たすと、ケガ人続出のチームで居場所を得て活躍。70試合に出場して11.0得点、5.6リバウンドは上々の結果だった。
しかし、シクサーズからは新たな契約の提示はなく、彼は今オフをフリーエージェントとして過ごし、2年1100万ドル(約17億円)でニックスに加わった。ベテラン最低保証額だった昨シーズンよりは良くなったものの、十分な条件とは言えない。それでもヤブセレはNBAに残れたこと、さらに優勝争いのできるチームでプレーできることを大いに喜んでいる。
「ニックスの試合はよく見ていたんだ。コート上で発揮していたメンタリティ、攻守一つひとつのポゼッションでタフに戦い、団結してプレーする姿が気に入っていた。コート上で持てる力のすべてを出し切る、そういうチームだよね」とヤブセレは語る。
「このチームの一員になれてうれしい。僕はチームを第一に考えてプレーし、みんなにとって良きチームメートになりたい。毎日ベストを尽くしてプレーを楽しめば、すべて上手くいく。自分に変なプレッシャーを掛けることなく、ただチームに順応することを考えるよ」
ニックスの他にもオファーがあったかと質問されると「いくつかあった」とヤブセレは言う。「そのうちの一つは魅力的なオファーだったけど、僕はニックスを選んだ。このチームのエネルギーが好きだし、このチームの可能性を信じているからだ」
あれだけ活躍したにもかかわらず新たな契約を提示しなかったシクサーズに対しても「ネガティブな感情は一切ない。これはビジネスだからね」と言い切る。「むしろ、僕を信じてNBAでのセカンドチャンスを与えてくれたことに感謝している」
ニックスのプレシーズン最初の2試合は、アブダビでのシクサーズとの2連戦。ヤブセレはここで古巣と対戦することになるが、「シクサーズのみんなは今でも仲間さ。誰に対しても恨みはないし、どんな会話ができるか楽しみにしている」と気負いは見られない。
過去にとらわれるのではなく彼が見据えるのは未来だ。ニックスでキャリアシーズンを迎えられると信じているし、そのためにまだまだ成長するつもりでいる。「今も毎年、何か新しいことを学んでいる。シクサーズでの1年でも、4番と5番でのプレーを学んだ。チーム状況が悪くてもベストを尽くしたことで、僕は成長し、バスケをより深く理解できる」
「自分にはまだ伸びしろがあると思っているんだ」とヤブセレは笑顔を見せる。「マイク・ブラウンのようなコーチの下なら、また新たな成長があるはずだ。今から始まるシーズンが終わる頃には、今とは違う僕になっているはず。そう自分に言い聞かせているよ」