2年前にはケビン・ラブの肩を脱臼させた『前科』も

いつの時代にも『ダーティー』と呼ばれる選手が存在する。バスケットボールでは地味な汗かき仕事を指す言葉(ダーティーワーク)でもあるが、今回取り上げるのはそれとは別。審判の目に見えていない範囲で対戦相手を痛めつける選手のことで、ライバルから尊敬の眼差しを向けられることは決してない類の選手だ。

ウォリアーズのドレイモンド・グリーンは、セルティックスのケリー・オリニクがこの『ダーティープレーヤー』だと告発する。

オリニクは、ウィザーズとの東カンファレンス準決勝の第3戦で、ケリー・オーブレイにフィジカル色の強い危険なスクリーンを仕掛けた。この行為に怒ったオーブレイは、立ち上がると一目散にオリニクに詰め寄り小競り合いに発展。審判は、オリニクを突き飛ばしたオーブレイにフレイグラントファウル2をコールし、同選手は一発退場。オリニクにはオフェンシブファウルのみがコールされただけだった。

グリーンはポッドキャスト番組内で、オリニクについて「ダーティープレーヤーだ」と名指しで批判。「アイツのような選手は尊敬できない。彼は決して偉大な選手ではないから、ああいう類のプレーもしないといけないのかもしれない。でも、俺は嫌いだね。ただのダーティープレーだ。アイツのことは尊敬できない」

またグリーンは、経験豊富なベテランの老獪な技術と、オリニクのプレーには大きな違いがあり、混同しないでくれとも主張する。

「全く違うよ。ベテランの技術は相手を傷付けるようなものではない。アイツは相手の肩を脱臼させたこともある。アイツは、相手にケガをさせようとしている。あんなダーティープレーヤーとはやれない」

オリニクは2年前、キャバリアーズとのプレーオフ1回戦でケビン・ラブの左腕に両腕を絡め、柔道の脇固めのような形で肩関節を極めて脱臼させた過去がある。ラブはこのケガでプレーオフ残り試合を全休する破目に陥り、キャブズはNBAファイナルでウォリアーズに敗れた。

オーブレイを激昂させた今回のダーティープレーが大きなケガに繋がることはなかったが、グリーンが主張するように、巧みなプレーと危険なプレーとでは大違い。反撃したオーブレイに1試合の出場停止処分が科され、オリニクには何のお咎めなしではフェアではないという意見もある。

プレーオフに入りプレーが白熱するのはリーグにとっても喜ばしいことだが、ウィザーズとセルティックスのシリーズは、試合をこなすごとに格闘技のようなフィジカル戦に発展しつつある。選手たちには、改めてプロフェッショナルとしての姿勢でバスケットボールをプレーしてもらいたい。