「ただ前向きに、自分のやるべきことに集中する」

ブルズの勢いは長続きしなかった。開幕5連勝と素晴らしいスタートダッシュを切ったが、その後は4勝14敗。現地12月7日のウォリアーズ戦はホームで32点差の大敗となり、シカゴのファンの声援はかつてのスター選手、ジミー・バトラーに向けられた。

ウォリアーズはステフィン・カリーが欠場する直近の5試合で3勝を挙げている。ブルズ戦ではドレイモンド・グリーンも足のケガで欠場したが、バトラーがチームを引っ張った。

ウォリアーズはケガ人を抱えながらも良い戦いができており、練習を再開したというカリーの復帰が待たれるが、ジョナサン・クミンガを巡る騒動が再燃している。ブルズ戦では11選手がプレーしたが、クミンガに出番はなかった。

2021年の1巡目7位指名でウォリアーズに加入したクミンガは5年目を迎えた今もチーム内で確固たる地位を築けずにいる。今オフには契約延長交渉がなかなかまとまらずに、ネガティブな意味で注目を集めた。2年4850万ドル(約73億円)、2年目にチームオプションの付いた契約で残留が決まったが、これはウォリアーズが彼を中長期の構想に入れ、『カリー時代』の後を託すつもりがないことを示している。

爆発力は魅力的でも安定感を欠くクミンガを、ウォリアーズの指揮官スティーブ・カーは決して重用しようとはしない。そのポテンシャルを認めてはいても、クミンガが自分で殻を打ち破るまで手を差し伸べるつもりはない。

カーはクミンガを起用しなかった理由をこう説明する。「ジョナサンにもプレータイムを与えられれば良かったんだが、今日はジミーが復帰した。2人は同じポジションだからジミーが優先される。それに、この数試合は他のベンチメンバーも好調だ。プレーさせたい選手がたくさんいて、ジミーをサポートするという意味で、同じポジションのジョナサンよりも他の選手を優先した。それが私の決断だった」

第4クォーター残り6分半でブルズがタイムアウトを取った時には27点差で長いガベージタイムがあった試合展開で、起用されればクミンガは不振を抜け出すきっかけをつかんだかもしれない。だが、カーはその選択をしなかった。言葉にはしなかったが、前日のキャバリアーズ戦でフィールドゴール10本中成功わずか1本と低調だったクミンガにチャンスを与える意味を見いだせなかったのかもしれない。

1秒もプレーしていないにもかかわらず取材に応じたクミンガは「今は勝っているから何かを変える必要がないんだ。ギー(サントス)やパットが活躍してチームが勝っていることを素直によろこんでいる」と語る。

「ジミーはいつも支えになってくれるし、ギーやウィル(リチャード)、トレイス(ジャクソン・デイビス)、モーゼス(ムーディー)、BP(ブランディン・ポジェムスキー)といった若い連中は、一緒にいるだけで僕のモチベーションを高めてくれる」

「僕自身の調子は良いよ。毎日ワークアウトして、準備し続ける。NBAでは何だって起こり得るし、いつ出番が来るかは分からない。以前にも起きたことだし、今も起きている。僕はただプロフェッショナルであろうとするだけだ。ただ前向きに、自分のやるべきことに集中する。コーチとの関係が問題だとは思わない。話し合って物事を解決しようとしている。ただ僕のやりたいように物事が進まなかっただけで、それでも僕は次の試合に集中し続ける」