今村佳太

堅守の理由はディフェンスリバウンド

名古屋ダイヤモンドドルフィンズは12月6日と7日に、アウェーに乗り込んで千葉ジェッツと対戦。先日行われた『FIBAワールドカップ2027アジア地区予選』Window1の強化合宿に5名招集、うち3名が12名のロスターに選出されたリーグ随一のタレント集団を相手に1勝1敗で終えた。

ゲーム1は75-73で名古屋Dが勝利、ゲーム2は86-87で千葉Jの勝利と、2試合続けてどちらが勝ってもおかしくない激闘だった。もちろん連勝を逃した悔しさはあるが、2試合続けて優勝候補の千葉Jと真っ向勝負で渡り合い、ここまでリーグ上位の成績を残せているのは確固たる実力があるからだと改めて証明し、名古屋Dが今シーズンの優勝争いにからんでくるチームであることも示した2試合となった。

リーグ有数の2ウェイ選手である今村佳太は、ゲーム1で12得点5リバウンド3アシスト、ゲーム2では20得点3アシストと中心選手の役割をしっかりと果たした。ゲーム1終了後の取材で、今村は「今シーズンはどの相手に対しても我慢強く戦えていて、千葉ジェッツさんのようなチャンピオンになり得るチームに自分たちのバスケットで勝てたのは大きな自信に繋がります」と今のチーム状況への手応えを語っていた。

さまざまな指標が示すように今シーズンの名古屋Dは、ここまでリーグ随一のディフェンスを見せている。この堅守の要因を、今村は「まず、ディフェンスリバウンドを一回で取り切れるので、相手のポゼッションを減らせています」と説明する。一方でオフェンスは今村、日本代表の先発ポイントガードを務めた齋藤拓実、新戦力のアーロン・ヘンリーを筆頭にしたポテンシャルあふれる選手たちの力を上手く一つに結集できていない。ボールシェアやスペーシングのバランスに関してまだまだ最適解を模索している段階だ。

今の名古屋Dは見方を変えれば、チームとしてやりたいことの半分しかできていない状況とも言えるが、それでも8割5分の高勝率を残している点に恐ろしさがある。今村も「半分しかできていない感覚は強いです。特にオフェンスの部分でもう少し整理できる。良い伸びしろを持ちながらここまで戦っていられていると思います」と話している。

今村佳太

「勝ちたい欲がチームとしてすごく高いです」

ショーン・デニスヘッドコーチの就任以来、名古屋Dはアップテンポな破壊力抜群のオフェンスに定評があるチームであり続けている。今はディフェンスのほうが目立っているが、観客を魅力するハイスコアリングゲームへのこだわりはこれまでのシーズンと同じだ。今村は「ショーンも『60-61で負けるより100-101で負けたほうが良い』と、テンポの速いバスケットをすることにプライドを持っています」と語る。

満足のいくオフェンスが展開できなくとも、我慢強く戦って勝利を積み重ねていくことは強豪チームには欠かせない要素だ。今村もこの部分が備わってきていると好感触を得ており、「勝者のマインド、勝ちたい欲がチームとしてすごく高いです。チームに加入して2年目ですが、昨シーズンよりも良い傾向です」とメンタル面の変化を感じる。

この勝利への貪欲さは、一昨年の地区優勝から一転し、昨シーズンはチャンピオンシップ出場を逃した悔しさが原動力となっている。今村自身も名古屋D加入前は、琉球ゴールデンキングスでずっとチャンピオンシップに出場し、勝ってきていた。今村は「昨シーズンの結果に対するリベンジへの思いはめちゃくちゃ大きいです」と強調する。

「僕個人として5月の最初にシーズンが終わってしまうことをしばらく経験していなかったです。チームとしても悔しさは大きく、6月の最初から日本人選手がほぼ全員集まって練習をやっていたくらいです。だからこそ、今の成績にも満足できていないです」

明日の10日、名古屋Dは水曜ゲームで琉球とアウェーゲームを行う。今村は「ジェッツさん、琉球さんはチャンピオンになっているチームで、この3連戦は重きを置いています。彼らに勝つことでもっと自信をつけていきたいです」と古巣対決への意気込みを語る。

強豪の千葉J、琉球相手のアウェー3連戦で勝ち越すのは難関だ。だからこそここで勝てば名古屋Dはさらに大く勢いづく。この重要な試合を勝ち切るためには、今村の攻守に渡る貢献が求められる。