ラメロ・ボール

ドラフト同期のエドワーズ、ハリバートンと差が広がる

2021-22シーズンに43勝するまでチーム力を上げたホーネッツですが、2回のヘッドコーチ交代を含めた方針転換により、その後は27勝、21勝、19勝と年々成績を落としています。唯一変わらなかったのは『ラメロ・ボール中心のチーム作り』ですが、この間のラメロの欠場数は46試合、60試合、35試合と、期待に応えられるかどうか以前に、ケガの多さでチームの成長を停滞させています

昨シーズンはキャリアハイの25.2得点を記録するも、フィールドゴール成功率も2ポイントシュート成功率もキャリア最低となり、アシストもルーキーシーズン以来の少なさとなる7.4に留まりました。ラメロ中心のチーム作りは、ラメロの不在に悩まされるだけでなく、タフショットの増加とチームとしての連携の欠如に陥っています。

一例を挙げれば、ラメロはシュート力の高い選手ではありますが、7ドリブル以上を使ってのプルアップ3ポイントシュートを2.4本も打ち、その成功率は28.6%しかありません。また201cmのビッグガードであるものの、強引な突破からシュートに行くため、レイアップの成功率も52.0%に留まっています。

中心であるラメロのタフショットの多さはホーネッツ全体の問題へと繋がっており、得点とフィールドゴール成功率がリーグ最低、特に得点は3シーズン前がリーグ4位の115.3だったのが、111.0、106.6、105.1と毎シーズン下がっています。ケガ人の事情も大きいとはいえ、ラメロの出場試合数が増えても下がっているのは大きな問題です。

展開力のあるラメロが個人プレーでタフショットを増やしてしまう──この矛盾した状況はホーネッツが解決すべき課題ですが、それ以上にラメロの『ひらめき』に依存しすぎることで、ラメロがコートにいない時間帯のチームオフェンスが全く機能しないことは、より大きな課題になっています。

20.2得点を記録したマイルズ・ブリッジスの3ポイントシュート成功率は、ラメロのパスからだと40%ですが、他の選手からのパスでは30%を下回ります。それは単にラメロから良いパスが出てくるだけでなく、個人技で決める戦術になっているからです。

ラメロと相性の良い機動力とシュート力のある選手を集めるのがホーネッツの方針で、今年のドラフトでも1巡目でウイングを2人(コン・クヌッペルとリアム・マクニーリー)指名しています。ですが、ラメロがタフショットの選択肢を減らしアシスト中心にしなければ意味はなく、それ以上にラメロ頼みのチームオフェンスを良しとしていては、いつまでたっても問題は解消されません。

2021年にルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたラメロですが、それから5年が経った現在では、チームの中心選手としてNBAファイナルへ進んだタイリース・ハリバートン、2年連続でカンファレンスファイナルへ進んだアンソニー・エドワーズとは『勝つためにやるべきこと』において大きな差を付けられました。若いタレントは揃っているものの、中心に据えられたラメロがチームの勝利に直結するプレーを遂行できるのか。これがホーネッツが浮上する鍵となります。