「自分がやるという気持ちが出ています」

岡山インターハイ2日目、優勝候補の京都精華学園(京都府)が東京成徳大学(東京都)と対戦。114-58の大勝で危なげないスタートを切った。

それでも試合の立ち上がりは、東京成徳大学が留学生対策の成果を見せた。留学生センターに入れるパスに食らい付き、ポストプレーの形を作らせないディフェンスが機能。その状況を打開したのが2年生コンビの満生小珀と吉田ひかりだった。

多彩なオフェンスが持ち味の満生が外からのドライブで東京成徳大学のディフェンスを揺さぶり、ビハインド・ザ・バックからのステップバックジャンパーという彼女ならではの武器で得点を奪う。そして吉田はポイントガードとして素早い攻守の切り替えを行うとともに、ドライブからそのままシュートを打ち切る強気のプレーで、東京成徳大学の対策を打ち破った。

2人とも1年生だった去年からメンバー入りしていたが、吉田はプレータイムが短く、満生も役割は限られていた。それが2年生になった今、2人は京都精華学園になくてはならない主力へと成長している。6月にシンガポールで開催された『NBAライジングスターズ・インビテーショナル』などで実力を伸ばすとともに自信も増した2人を、山本綱義コーチは「去年と違うのは責任感です。自分がやるという気持ちが出ています」と評価する。

『責任感』について満生は「自分では感じていないです」とはにかむが、ポイントガードを任された吉田はその実感が強い。「3年生のガードの選手がケガで出られなくなって、それまでは先輩に頼る気持ちもあったのですが、自分でやるしかなくなりました。正直、不安はあったのですが、コートの外から声を掛けてもらえることで自信を持ってやれています」

そんな吉田の変化について満生は、「ひかりがガードをやるようになってチームの流れがすごく良くなりました。速攻も合わせのプレーも私はやりやすくて、尊敬しています」と話す。

一方で吉田は満生の成長ぶりを「去年は先輩も多くて、1対1で攻めろと言われても遠慮していたところがありましたが、今は自分をどんどん出していけるようになって得点源になっています」と語る。これに対して満生は「まだまだです。もっともっと自信を持ってプレーできるように頑張りたい」と答えた。

優勝候補に挙げられる京都精華学園を下級生ながら自分たちが引っ張っていく。そういう強い自覚とともに、インターハイでの個人的な目標を彼女たちに聞いた。満生は「ディフェンスからリバウンド、ルーズボールを徹底して、オフェンスでは自分の100%のプレーを出し切れるように頑張ります」と、そして吉田は「ポイントガードの私の足が止まったらみんなの足も止まってしまいます。だから自分が最前線を走って、みんなに良いパスを出したいです」

試合ごとに成長を重ねる満生と吉田は、このインターハイで主役を演じてくれそうだ。