文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

前半は守り合いのロースコアゲームに

西地区王者のシーホース三河と同地区2位の大阪エヴェッサの対戦。

序盤はジョシュ・ハレルソンの3ポイントシュートで先制した大阪が主導権を握る。マークが外れずシュート精度が上がらない三河に対し、橋本拓哉のジャンプシュートや速攻を繰り出し10-2とリードした。それでもシュートを打ち続けた金丸晃輔の3ポイントシュートにより落ち着いた三河は、残り1分で狩俣昌也の3ポイントシュートで追い付き、以後は拮抗した展開が続く。

15-13と大阪がリードして第2クォーターがスタートすると、残り8分のところで、三河は橋本竜馬をコートに送り出した。 膝を痛め、2月25日の秋田ノーザンハピネッツ戦を最後に長期欠場が続いていた橋本にとっては2カ月ぶりの実戦。ファンの歓声に迎えられての復帰に橋本はこう語る。「自分1人だけではここまでこれなかったですし、皆さんのサポートとチームメートの協力があってこの早い段階での復帰があったと思うので、これを忘れずに感謝しながらプレーをしていきたいと思っています」

その橋本はブランクを感じさせない持ち前のハードなディフェンスを見せ、ロースコアゲームの様相が強まる。両チームともに1対1でしっかり守り、素早いローテーションからターンオーバーを誘発した。また互いにトップクラスのリバウンド力があるため、オフェンスリバウンドを奪えず、セカンドチャンスポイントが伸びなかった。

25-27でスタートした後半、三河はこれまで影を潜めていた桜木ジェイアール、比江島慎がミドルシュートを沈め逆転に成功し、インサイド陣も力を見せる。それでも根来新之助のオフェンスリバウンドを木下博之が3ポイントシュートに繋げ、エグゼビア・ギブソンが3ポイントシュートを沈めるなど大阪も一歩も譲らない。

粘り強い守備を続け、少ないチャンスをつかんだ大阪

46-45と三河のリードで最終クォーターを迎え、なおも一進一退の攻防が続いていく。だが残り2分30秒、比江島のターンオーバーからハレルソンの3ポイントシュートで63-62と大阪が逆転すると、そこから大阪が流れをつかむ。

直後のディフェンスで桜木のオフェンスファウルを誘発すると、ギブソンがオフェンスリバウンドを奪い、ファウルを獲得。フリースローで貴重な2得点を挙げた。ディフェンスではギャビン・エドワーズにペイント内へ侵入を許すも、最後までプレッシャーをかけゴールを死守、橋本尚明がドライビングレイアップを決めてその差を5点に広げる。

残り30秒、トランジションから比江島がノーマークで3ポイントシュートを放つも決められず。三河はファウルゲームに持ち込むも、ハレルソンがフリースローを2本とも成功させ、残り16秒で7点差とし勝利をグッと手繰り寄せた。

だが、これで終わらないのが試合巧者の三河だ。65-70で迎えた残り5.6秒、リスタートからドリブルで独走した比江島が、ファウルを受けながら執念で3ポイントシュートをねじ込み2点差に。さらにボーナススローをわざと外し、アイザック・バッツがリバウンドを奪う。外で待つ柏木真介が逆転の3ポイントシュートを狙うもリングに嫌われ、追撃もここまで。最終スコア70-68で大阪が逃げ切った。

桶谷ヘッドコーチ「最後まで我慢できた」

息詰まる接戦を制した大阪の桶谷大ヘッドコーチは「三河の超攻撃的バスケットを68点に抑えられて価値のある勝利」と胸を張る。「相手のメインプレーヤーである比江島選手、金丸選手、エドワーズ選手といった三河の得点を平均より低く守れたことは、三河のゲームプランどおりさせなかったということ。アシスタントコーチがスカウティングして、それを選手が体現できた」

「まだまだリバウンドのところは課題があるにしても、一度も勝てなかった三河に勝てたことは非常に大きいし、今までの負け方も点差を広げられて負けるシチュエーションだったが、最後まで我慢してチームとして持続性を持ったプレーができた」と桶谷ヘッドコーチ。大混戦となっている西地区2位争いにおいて、首位の三河から挙げる勝利の重さは計り知れない。

一方の三河は、開幕直後以来7カ月ぶりの連敗。鈴木貴美一ヘッドコーチは「大阪はチャンピオンシップに出るために最後まで集中していた」と相手を認めながらも、「シュートが入らないながらもディフェンスをよくがんばっていい感じになったが、最後自分たちのミスで負けてしまった」と、自滅による敗戦と語る。

復帰戦を白星で飾ることができなかった橋本は4分半の出場。「もっとプレーしたい気持ちがあるが、抑えるのが精一杯で、また繰り返してしまうと自分のとってもチームにとっても良くない」と、あくまでチャンピオンズカップを視野に入れコンディションを高めていく。それでも、チャンピオンシップに意識が行き過ぎて目の前の試合を落とすのでは意味がない。「これからチャンピオンシップを戦っていく上でこういう試合を勝ち切るということが重要だと思うので、明日はチーム全員でもっと集中して相手のやりたいことをやらせないようにやっていきたい」と必勝を誓った。