ジェームズ・ハーデン

オールスターとオールNBAに返り咲く『復活』の1年に

クリッパーズのローレンス・フランク球団社長は、ジェームズ・ハーデンに最大級の評価を下している。NBAドラフトを終えた時点で「ハーデンの慰留が最優先事項だ。彼の活躍は驚異的なもので、我々はそのプレーを見続けたい」と語るとともに、「NBAファイナル終了後に彼と正式な交渉を行っている」と明かしている。

キャリア16年目のシーズン、ハーデンはロケッツ時代以来となるレギュラーシーズン79試合出場とフル稼働し、カワイ・レナードが膝のケガでシーズン後半からしかプレーしなかったチームを牽引した。22.8得点、5.8リバウンド、8.7アシストを記録。ここ数シーズンはケガを抱えてプレーしてきたが、35歳にしてベストコンディションを取り戻し、オールスターに3年ぶりに返り咲き、2020年以来のオールNBA選出も果たした。

ハーデンは昨年夏に2年7000万ドル(約110億円)の契約を結び、その2年目はプレーヤーオプションとなっていた。『ESPN』によれば彼はこの2年目を破棄し、新たにクリッパーズと2年8150万ドル(約120億円)の契約を結ぶことで合意に達したという。

ハーデンとクリッパーズの挑戦は順調に進んだが、プレーオフではナゲッツ相手のファーストラウンドであっさり敗退した。ヘッドコーチのタロン・ルーは、「シーズンを通して見せてきたディフェンスを発揮できなかった。ナゲッツの試合巧者ぶりに対応できなかった」と悔しがるが、敗因の大きな一つはハーデンの低調なパフォーマンスにあった。レギュラーシーズンでの積極性は影を潜め、自信を失ったかのようなプレーに終始。18.7得点を奪い、9.1アシストを記録したものの、試合の要所で存在感を発揮できなかった。

レギュラーシーズンとプレーオフの強さは別物で、ベテランの多いクリッパーズが今後どれだけの伸びしろを残しているかは懐疑的にならざるを得ない。それでもカワイは健康を取り戻し、オフをリハビリではなく『勝つための練習』に費やしており、完全復活を果たせば大きな上積みとなる。

ハーデンと同じくニコラス・バトゥームは新たな契約を結んで残留する見込み。それでもまだ複数のロスター枠を残しており、クリス・ポールやニキール・アレクサンダー・ウォーカー、ブルック・ロペスといった即戦力が獲得候補となっている。ハーデンとの再契約という『最優先事項』が解決した今、クリッパーズは意欲的なロスター強化を進めていくはずだ。