原修太

「ディフェンスにプライドを持ってやっている」

千葉ジェッツ原修太が、Bリーグ2024-25シーズンのベストディフェンダー賞を受賞した。原が同賞に輝くのは2年ぶり2度目だ。

身長187cm、体重96kgの原は、自分より一回り以上も大きい相手にも当たり負けない傑出したフィジカルの持ち主で、ガードからビッグマンまで複数のポジションに難なく対応できるリーグ随一の『守備のオールラウンダー』だ。今シーズンの千葉Jは特にインサイドの故障者に苦しんだが、外国籍フォワードに対するサイズの不利をまったく感じさせない原のディフェンスは大きな助けとなった。

原は受賞の喜びを次のように語る。「素直にうれしいです。チームメートたちはずっと言ってくれていますけど、この2年ですら年々リーグのレベルが上がっている中、対戦相手の選手やコーチも含めてディフェンスを評価してもらえるのは自信に繋がります」

2023-24シーズンは34試合出場にとどまったが、今シーズンは全試合出場を達成。手応えを感じるシーズンだった。

「去年は手術を2回した影響もあってコンディションが上がらないことが多かったので、受賞できるとはまったく思っていなかったです。今年は夏から準備ができてコンディションは良かったですし、ディフェンスにプライドを持ってやっているので、もしかしたらという気持ちはありました」

そして、「とはいえ」と続けた。「僕のディフェンスはスタッツに残らないので、バスケをあまり見ていない人からしたら『なんで?』と思われるかもしれないです。そういうディフェンスでも選ばれたのは本当にうれしいです」

原の言うように、彼の守備に関するスタッツは2.6リバウンド、0.4スティール、0.1ブロックと目立つモノはなかった。それでもこの賞に選出されたことが、原のディフェンスがいかにリーグ全体で評価されているかを示す何よりの証拠だ。

原のディフェンスの見せ場の1つが、ビッグマンとのマッチアップだ。「身長がない分、上から打たれて決められたら終わりです」と語るようにリング付近でボールを持たれると厳しいが、逆に「逆にゴールから離れた位置だったら、むしろボールを入れてほしいくらいです」と自信を見せる。この発言には、次のような意図もある。

「僕には相手に押し込まれない強みがあります。なおかつ僕がつくことによって、味方のビッグマンがヘルプに行けたりする利点が生まれる。個人としてビッグマンとの11は楽しみですし、チームとしても自分がスイッチして、相手ビッグマンを守れる強みはプラスだと思って試合中は意識しています」

原修太

65試合に出場できたことは自信に繋がりました」

また、原は今シーズン、ディフェンスにおいて進歩できた部分として判断力の向上を上げる。「2年前に受賞した時はジョン(パトリック)さんがヘッドコーチで、『ポストに持たれたらこっち側に寄せよう』といった決まりごとが多かったです。(トレヴァー)グリーソンヘッドコーチは、細かくルールを決めるというより選手の判断に任せてくれるスタイルでした。その中でどこに相手を行かせるのかなど、チームメートとコミュニケーションを取り、いろいろなことを駆使して守ることができて受賞できた。レベルが上がったと思います」

千葉Jはリーグ屈指のタレント集団だが、原は「時間帯によらず、相手のエースが出ている時は自分にマッチアップさせてくれと思います」と、エースストッパーとしての矜持を見せる。ただ、彼は大局的な視点で守備を考えている。

11は大切ですが、バスケットボールは5人で守るスポーツで、自分のポジショニングや声かけで他の選手の守備力をアップさせることも大切です。相手がスクリーンなどを使ってマークをはがしに来る中、自分がボールマンについてない時にもやれることがあり、その部分で成長できたと思います」

このように今シーズンの原は、11での強さに加えチームメートが守りやすい状況まで考慮するなど、より総合力の高いディフェンダーとなった。もちろん優勝できなかった悔しさは何よりも大きいが、収穫も得た。

「ケガ人がたくさん出てアップダウンが激しかったし、大きな期待を背負った中で結果を出せなかった苦しいシーズンではありました。ただ、その中でも個人としてはいろいろなポジションを経験したり、ケガなくチャンピオンシップとあわせて65試合に出場できたことはすごく自信に繋がりました」

新シーズン、千葉Jが王座奪還を果たすためには、主力が故障なく過ごし、ケミストリーを高めていくことが大きなカギとなる。その上で、原が守備の要として引き続きハイパフォーマンスを見せることもこれの達成には欠かせない。