ノースカロライナ州立大とシンシナティ大のGMに

サンダーは63勝12敗でリーグ首位を快走し、西カンファレンスの第1シードでプレーオフに進出する。2021-22シーズンの24勝から40勝、57勝と着実に成績を向上させ、今シーズンはシアトル・スーパーソニックス時代に樹立したチーム記録64勝の更新まであと一歩に迫っている。

この躍進を支えているのは、サム・プレスティGMを軸に傑出したスカウティング能力だ。チェット・ホルムグレンは2022年ドラフト全体2位指名で誰もが認める逸材だったが、大エースのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーは2019年当時はまだ期待の若手の一人でしかなかった。そのシェイをポール・ジョージとのトレードで獲得したことは、チームの歴史を変える一手となった。

他にもジェイレン・ウィリアムズは2022年ドラフト全体12位、アーロン・ウィギンズは2021年ドラフト全体55位、ルー・ドートはドラフト外、ケイソン・ウォレスは2023年ドラフト全体10位など、フリーエージェントに大金を投じるのではなく、優れたスカウティング能力でチームにフィットする若手を見いだして獲得したことが今の成功の要因だ。

こうして成功を収めたチームのメンバーが、他チームからより良いオファーを受けて移籍していくのは選手、コーチングスタッフも含めて日常茶飯事だ。ただ、サンダーの場合、その流れがここに来て編成部門にまで及んでいる。

3月下旬にかけてアンドリュー・スレイターがノースカロライナ州立大、コーリー・エバンスがシンシナティ大と、2人のスカウトがNCAA1部の強豪校でGMの要職に就くことが発表された。

かつてのNCAAでは転校した選手は1年間は試合に出場できなかったが、それが撤廃された。トランスファー・ポータルというシステムに登録して転校すれば、翌シーズンにすぐ試合に出場できる。転校へのハードルが一気に下がったことで、現在では毎年、NCAA1部の男子バスケットボールで1000人以上がトランスファー・ポータルに登録する。

出番が少なかった選手が出場機会を求めたり、マイナーカンファレンスの学校で中心として活躍した選手がステップアップを求めて強豪校に移籍するだけでなく、強豪校で主力を務めながら新しい環境を求める選手も少なくない。その結果、強豪チームと言えど毎年のように主力の半数近くが入れ替わることが珍しくなくなった。

しかもプロのような複数年契約もないので、エースが突如として転校を選択する事態も起きる。そのため安定した強さを維持するには、スカウティング能力の強化が欠かせない。今回のサンダーだけでなく、NBAのスカウトで実績を残した人物が、NCAAの編成部門で要職に就任する流れは続いていくだろう。