レアル・マドリー

欧州最高峰リーグを自分たちの手に取り戻したいFIBA

NBAとFIBAが共同で、ヨーロッパでの新リーグ創設を発表した。この会見にアンドレアス・ザグリスFIBA事務総長と一緒に出席したアダム・シルバーNBAコミッショナーによれば、参加16チームのうち12チームは固定し、残りの4チームは毎年の成績に応じて入れ替わる。参加チームは自国のリーグ戦を戦いながら、この新リーグに参戦する。

NBAとFIBAはこの新リーグで、ヨーロッパでのバスケットボールの人気拡大を目指していくが、ここで疑問となるのは現在のユーロリーグとの関係だ。ユーロリーグはヨーロッパ各国のトップクラブで構成される、現在のヨーロッパ最高峰リーグ。これに対してFIBAがNBAと組み、ヨーロッパの頂点を争うリーグを自分たちの支配下に取り戻すための宣戦布告とも読み取れる。

ユーロリーグは1958年に『FIBAヨーロッパチャンピオンシップ』の大会名でスタートしたが、様々な紆余曲折を経て、今の大会を主催しているのはULEB(欧州バスケットボールリーグ連合)で、FIBAの大会ではなくなっている。

FIBAもバスケットボールチャンピオンシップリーグという各国の上位チームで構成される大会を行っているが、大会の序列ではユーロリーグ、同じくULEB主催のユーロカップに次ぐ3番目の位置付けとなっている。

FIBAが現状を快く思っていないのは間違いない。ザグリス事務総長は「私はヨーロッパでプレーしているすべてのクラブはFIBAクラブだと思っている」と発言。ユーロリーグ関係者にとっては受け入れがたい言葉だろう。「我々のゴールはすべての大会を一つに統一することだ。NBAはそれに同意してくれた。彼らはそのためのノウハウを持ち、我々と同じ道を歩んでいる」

FIBAとNBAによる新リーグが実現するかどうかは、いかにユーロリーグのクラブを引き込めるかにかかっている。『The Athletic』によれば、NBAはレアル・マドリーとバルセロナ(スペイン)、アスベル(フランス)、フェネルバフチェ(トルコ)を候補として注視している模様だ。アルベルは他の3チームほどのブランドはないが、元NBAスターのトニー・パーカーがオーナーを務めている。パリやロンドンといった大都市に新しいチームを立ち上げる計画もある。新規チームはオーナーとNBAが株式の50%ずつを折半する計画だ。

ユーロリーグ4度優勝の名将エットレ・メッシーナは、『EUROHOOP』の取材に「興味深いプロジェクトだ」と語るが、それと同時に新リーグがユーロリーグを上回るレベルになることには懐疑的で、「NBAとFIBAが作る16チームのリーグが、ユーロリーグよりも多様性を持つとは考えにくい」とも話している。

FIBAとNBAはバスケットボール界の2大組織ではあるが、ユーロリーグが築いてきたヨーロッパ市場の支配権を奪うのは容易ではない。それでもNBAの影響力と資金力は桁違いで、やり方さえ正しければどんな変化も起こせるだろう。ユーロリーグの牙城を崩すのか、あるいは協調路線を取るのか。今後の動きに注目したい。