デュラントとブッカーのクラッチ力でバックスを撃破
現地3月24日、サンズはバックスとの接戦を108-106で制した。開幕直後に7連勝を記録して以来の4連勝で、しかも今回はキャバリアーズ、バックスと強豪相手に良い勝ち方ができた。1月末から2カ月近く連勝のなかったチームには、これまでにない自信が芽生えている。
ケビン・デュラントとデビン・ブッカーが軸ではあるが、その周囲にどんな選手を並べ、どんなバスケをするべきなのか、長いレギュラーシーズンを通して試行錯誤を繰り返してきたが、ライアン・ダン、コリン・ギレスピー、ニック・リチャーズの組み合わせはスピードとインテンシティという点で現状のベストだろう。ロイス・オニール、タイアス・ジョーンズ、グレイソン・アレン、コディ・マーティン、オソ・イガダロとベンチから出た選手もそれぞれ持ち味を発揮し、48分間を通して攻守のインテンシティを保ったまま、チームに必要な要素を提供している。
サンズの激しさを象徴していたのは、第3クォーター途中にライアン・ダンがヤニス・アデトクンボ相手にダンクを決めたプレーだ。速攻で出たタッチダウンパスの精度が悪く、リングから遠ざかる向きでパスを受けたブッカーは、飛び込んできたダンへとパスを出す。アデトクンボは一度はブッカーに対応していたが、すぐに身をひるがえしてダンへと向かう。
ダンはそのアデトクンボにファウルされながらも、その上から豪快なダンクを叩き込んだ。「彼が来るのは分かっていたけど『ダンクしてやる!』と思った。みんなの歓声で成功したのが分かった」とダンはこのプレーを振り返った。
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— Phoenix Suns (@Suns) March 25, 2025
「それでも今はチームの成長が感じられる」
バックスも東カンファレンスの熾烈な順位争いの中にあり、簡単に屈したわけではない。むしろタフな接戦の最後に力を発揮できるのはサンズではなくバックスだったはずだ。第4クォーター残り1分20秒、カイル・クーズマがデュラントにファウルされながらも3ポイントシュートを決める4点プレーでバックスが105-103と逆転する。しかし、ここからサンズの恐るべきスターパワーが発揮された。
隙のないディフェンスをするバックスに対し、デュラントは先ほどのお返しと言わんばかりに、きっちり寄せるクーズマの真正面から放った3ポイントシュートをねじ込んでリードを奪い返す。ブルック・ロペスのフリースローで同点とされたものの、今度はブッカーの見せ場がやってきた。
ブッカーはオフボールのスクリーンでマークに付いていたゲイリー・トレントJr.を引き剥がし、その瞬間を見逃さずにオニールがボールを入れる。スイッチしたロペスが追いかけるも、ブッカーのスピードはそのズレを埋めさせない。こうしてフリーでミッドレンジのプルアップジャンパーを放った時点で、ブッカーとサンズの勝ちだった。このシュートがリングの真ん中を正確に射抜き、サンズが108-106で接戦を制した。
サンズのヘッドコーチ、マイク・ブーデンフォルツァーは最後のプレーをこう振り返る。「ロイスのインバウンドの判断力はシーズンを通して素晴らしいものだ。今回も相手の動きを正確に見定めてパスを出した。素晴らしいスクリーンもあったし、もちろんデビンはキャッチと鋭いドライブで自分の得意なスポットにボールを運んだ。選択肢が複数ある中で最高のプレーを実行してくれた」
ブッカー本人は「あれはパリオリンピックの代表チームのセットプレーだったんだ」と明かしたが、自分が決めたゲームウィナーよりもチーム全体で激しいプレーができ、ファンを巻き込んで最高の雰囲気の中でプレーできる喜びについて語りたがった。
「一言で言うと楽しいよね。試合中に楽しさを実感している。ここまでの苦戦は自分たちのせいで、ここからは毎試合がプレーオフのような気持ちで戦わなきゃいけいあ。それでも今はチームの成長が感じられる。これまでは良いプレーがあっても、試合を通して続けることができていなかった。でも、今日はそれができたから勝てたんだ」
デュラントも「全員で一生懸命にプレーする。そんなアイデンティティをチームで共有できているのは素晴らしいよ」と、サンズのポジティブな雰囲気を語った。「シーズンを通して良いバスケをする意欲はあったけど、お互いが何をするかを今まで以上に明確にすることで、チームとしての結束が強まったと思う」