ヤング不在のシクサーズ戦で攻撃を引っ張り22得点
ホークスは勝率5割前後を推移して、なかなか調子が上がってこない。それでも2月中旬からの1勝5敗という不振を乗り越え、直近では4勝1敗と持ち直している。いまだ31勝34敗と負け越しているものの、西カンファレンスであればプレーインにも出られない勝率であっても東カンファレンスでは7位で、残り17試合で8位以下のライバルを抑えてプレーインに優位な状態をキープしたい。
そのホークスでザッカリー・リザシェイが調子を上げている。昨年のNBAドラフトで全体1位指名を受けた彼は、シーズン序盤はNBAのリズムをつかめず苦労したが、ここに来て成長が見られる。全力を出すべきタイミングと力を抜くタイミングを見誤り、ディフェンスを怠けていたり、オフェンスでチームプレーに絡んでいないように見える悪癖があるものの、指揮官クイン・スナイダーの粘り強い指導と起用法により、その弱点は消えつつある。
2月の月間最優秀新人賞を受賞したリザシェイは、現地3月10日のシクサーズ戦でフィールドゴール16本中9本と効率良くシュートを決め、22得点8リバウンドの活躍を見せた。サイズを生かした打点の高い3ポイントシュート、それを防ごうとするディフェンスをかわすドライブ、ユーロステップやフローターとフィニッシュの質も高い。トレイ・ヤングもキャリス・ルバートもケガで不在だったこの試合、ダイソン・ダニエルズがプレーメーカーとなり、リザシェイが得点を重ねることで競り勝つことができた。
「自分で自分を評価するつもりはない。ただ毎日しっかり練習して、試合でその成果を発揮したい。そして試合に勝ちたい。僕が考えているのはそれだけで、シンプルだけどこのやり方は好きだ。長いプロセスになるけど、毎日少しずつ成長するのが僕の目標なんだ」とリザシェイは語る。
132-123で快勝したこの試合、ステート・ファーム・センターが最も沸いたのは前半残り2分にキートン・ウォレスのシュートのこぼれ球をダンクで叩き込んだ場面だった。リザシェイのサイズと身体能力が存分に発揮されたプレーを、彼はこう振り返る。「ちょうどゴール下に走ったタイミングで彼がシュートを打ち、ディフェンスの誰も僕に注意を払っていなかったからそのまま飛び込んだ。シュートが外れて、僕はただボールを空中でつかみ、ダンクするだけで良かった。気持ちの良いプレーだったよ」
ベテランのジョージ・ニアンは「リザシェイの成長には驚かされる」と、その成長を高く評価する。「この1カ月か2カ月で、効率の良いプレーを実践できるようになった。ドリブルもシュートもできるし、相手のエースを守ることもできる。チームを勝たせたい、という強い意志を感じるよ」
ここまでリザシェイはフィールドゴール43.8%で11.7得点を記録しているが、2月は47.4%で12.8得点、3月はいまだ5試合を消化したのみだが54.5%で14.6得点と、ニアンの言葉通り効率の良さが格段に増している。
ホークスはエースのトレイ・ヤングに最後通告を突き付けられている状況で、これ以上の後退は許されず、プレーオフに進出して勝たなければいけない。今の状況は決して楽観視できるものではないが、リザシェイの成長ぶりはその先行きを明るくしてくれる。