「これは名誉、疲れたなんて言うつもりはないよ」

誰もが予想した通り、ウォリアーズの本拠地であるサンフランシスコで行われたNBAオールスター2025の主役はステフィン・カリーだった。

オールスター本戦のセミファイナル、『チーム・シャック』の一員として出場したステフィン・カリーは8得点6リバウンド1アシスト1スティールを記録。対戦相手はライジングスターズの優勝チームで、ステフォン・キャッスルにキヤンテ・ジョージ、ジェイレン・ウェルズなど若くてハングリーな選手が揃っており、『チーム・シャック』のベテラン選手たちもその勢いに対抗すべくギアを上げた。序盤は少々押し込まれるシーンもあったが、相手の勢いに慣れてしまえばオールスターのスキルが違いを生み出し、42-35での勝利となった。

続くファイナルはニコラ・ヨキッチとシェイ・ギルジャス・アレクサンダーのMVP有力候補を擁する『チーム・チャック』が相手。それでも初戦の勢いを持ち込んだ『チーム・シャック』は試合開始から11-0のランを見せ、そのまま優位に試合を運ぶ。カリーはこの試合で4本の3ポイントシュートを決めて12得点、さらには4リバウンド1アシスト2スティールを記録した。

カリーの連続3ポイントシュートで39-21と圧倒し、ターゲットスコア(先にこの点数に達したチームが勝利となる)の40得点に迫ったところで、選手も観客たちも最後はカリーが決めるべきだと感じていたはずだが、満を持してハーフコートショットを放とうとしたところで8秒バイオレーションを取られて、予定調和は崩れた。最後はジェームズ・ハーデンのアシストに合わせて抜け出したジェイソン・テイタムのダンクで、『チーム・シャック』が41-25で勝利した。

大会MVPのトロフィーを受け取ったカリーは、オールスター全体を通して「ホスト役は素晴らしい経験であり、忙しかったけど疲れたなんて言うつもりはないよ」と語った。「これは名誉であり、最初から最後まで楽しかった。その極め付けが誰もが楽しみにしていたオールスター本戦で、仲間の助けもあって楽しかった。すべては期待通りに進んで10点満点の出来だよ。疲れたとは言わないけど、そろそろ睡眠を取らないとヤバいね(笑)」

「最後はハーフコートショットで締めるはずだったんだけど、バイオレーションを取られるには早かったんじゃないかな。でもそれも面白かった。このフォーマットでは試合を通してストーリーを組み立てることはできないけど、観客と一緒になって楽しめる瞬間があった。そんな試合でこのトロフィーを手に入れられて気分が良いよ」

昨年のオールスターはブーイングで終わった。選ばれし選手たちが気の抜けたプレーに終始し、地元のスター選手が活躍の場も限られたものに終わったからだ。今回は全く逆のことが起き、大会は盛況のうちに終わった。これはカリーが望んでいたもので、彼もまたこのためにアクションを取っていた。

「昨年のオールスターから変化が必要だったのは明らかで、新しい活力を取り込まなきゃいけなかった。アダム・シルバーたちリーグのリーダーとは多くの意見交換をしたよ。その答えがプレー時間を短くすることで競争力を高めることだった。全員にとって楽しいオールスターにすることも大事な要素だった。オールスターは神聖なもので、そこに若手チームを参加させるべきじゃないという意見もあるけど、オールスターを活性化させる意味では良い一歩だったと思う」

「来年のオールスターではまた新たな変化を加え、何が起きるかを見てみる。ずっと昔と変わらないままではいられないんだ。でも、『それは誰にとっても楽しいものになる』と僕は言いたい」