12得点7リバウンド6アシスト3スティールで勝利に貢献
ベン・シモンズはネッツと契約バイアウトに合意し、セブンティシクサーズ時代に結んだ5年契約を最終年の途中で打ち切った上でクリッパーズに加わった。
再建中のネッツではなく、優勝争いのできるクリッパーズへ。指揮官のタロン・ルーから「来てほしい」と要請されたこともあり、彼はモチベーション高くNBAでの3チーム目に加わった。
「高いレベルで競い合う環境を希望していた。クリッパーズはそのレベルにあるし、チームだけじゃなくコーチ陣もメディカルスタッフもフロントの人たちもレベルが高い。僕からすればありがたいよ」とシモンズは入団会見で語った。その表情はここ数年にないほど明るく、クリッパーズでの展望に大きな期待を抱いていることがうかがえる。
「若手中心のネッツとベテランが多いクリッパーズではチーム状況が異なる。リズムをつかむのにそんなに時間がないけど、準備はできている。試合に出て高いレベルでプレーするつもりだし、それがここで実現すると信じている」
もっとも、シモンズ獲得がファンに評価されているかと言えば、そうとも言えない。シクサーズでの最後のシーズンに深刻なシュートスランプに陥り、それをきっかけにシクサーズを離れることになった。それと前後してケガが相次ぎ、特に椎間板ヘルニアは複数回の手術と長いリハビリ期間を彼に強いてきた。その間の契約が重かったこともあり、彼は不良債権として大いに批判を浴びてきた。
しかし彼は、そんな批判を何とも思っていない。「SNSで何を言われようが気にしない。僕からすれば見ないだけだ。僕が何者なのかは、僕が一番良く知っている。自分の機嫌を自分で取るために、余計な雑音をシャットアウトして、自分の仕事に集中するんだ」
そして現地2月13日、オールスターブレイク直前のジャズ戦で、シモンズは新天地でのデビューを果たした。ジェームズ・ハーデンと交代する2番手のポイントガードというのが彼の立場。高いスキルを活用するためハーフコートオフェンスを好むハーデンからシモンズへと司令塔が交代すると、ダイナミックなオールコートバスケへとスタイルが切り替わる。そのメリハリはクリッパーズのオフェンスに良いアクセントをもたらすだろう。
それ以上に効果が目に見えるのがディフェンスだ。高さと強さを生かしたタフなディフェンスを持ち味にし、1番から5番まで対応できるシモンズが加わることで、守備のバランスは大幅に改善される。特にこのジャズ戦では勝負どころで相手エースのラウリ・マルカネンのマークをシモンズが担当。第4クォーターを13失点に抑えて劣勢を挽回し、延長を制する逆転勝利に貢献した。
「強度の高いディフェンスをしていると、それがチームに広がっていく。誰かがやっているのを見ると、自分もやりたくなるものなんだ。そのきっかけを作るという意味で、チームの役に立てたと思う」と、デビュー戦を終えた彼は自分のディフェンスを誇った。
シモンズは27分の出場で12得点7リバウンド6アシスト3スティール1ブロックを記録。まだまだ連携に向上の余地はあるが、それもまた伸びしろであり、試合を重ねるごとに攻守ともにパフォーマンスは上げられるはずだ。
「一つずつこなしていく。それだけを考えているよ」とシモンズは言う。「次のプレーに集中して、それが終わればまた次のプレー。上手くいってもいかなくても、次のプレーに集中する。それが僕のやり方なんだ」