持ち味の堅守をアピールして日本代表合宿に追加招集
サンロッカーズ渋谷は、敵地での琉球ゴールデンキングス戦を1勝1敗で終えた。圧倒的なホームコートアドバンテージを持つ強豪相手の1勝1敗は及第点と言える結果だが、現在21勝16敗で、チャンピオンシップ最後の枠となるワイルドカード2位の千葉ジェッツを3ゲーム差で追いかけている。この差を巻き返すには、バイウィーク明けの残り23試合で勝率7割以上のハイペースで勝ち星を積み重ねていきたい。
厳しい状況に置かれたチームに活力を与える新戦力として期待されるのがハーパー・ジャン・ローレンス・ジュニアだ。福岡第一で全国レベルの活躍を見せた彼は、東海大でも下級生から主力として活躍し、年末のインカレでは4年生としてチームを準優勝に導いている。
181cmのサイズでダンクを叩き込む抜群の跳躍力と強靭なフィジカル、豊富な運動量を生かしたタフなディフェンスは、今月初めに行われた日本代表のデベロップメントキャンプで日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチからも高く評価された。その結果、10日から始まったアジアカップ予選の直前合宿に育成強化選手として参加するチャンスを勝ち取った。
インカレ終了後にSR渋谷に加入したハーパーは多くのプレータイムを得ているわけではないが、チームの連携と規律と重視し、主力にプレータイムが偏りがちなルカ・パヴィチェヴィッチの下で、シーズン途中の合流でガベージタイムではない時間帯に起用されているのは評価に値する。
「初戦は自分たちのバスケットができませんでした。自分としても岸本隆一さんを止める役割を果たせずズルズルとやられて、なかなか自分たちに流れを持ってこられずに負けてしまいました。ゲーム2で一人ひとりが役割を遂行してバウンスバックできたのは良かったと思います」
このように試合を振り返ったハーパーは、沖縄アリーナがある沖縄市出身で、「地元だからこその思いがあります」と言う。さらに今回は地元凱旋に加え、勝利したゲーム2は彼にとって22歳の誕生日であり、「やっぱりうれしいです。誕生日に地元の沖縄市で、琉球さん相手に試合をして勝てたのはすごく幸せです」と笑顔を見せた。
「クレモンズ選手のようなポイントガードになりたい」
これからプロバスケットボール選手としてのキャリアをスタートさせるハーパーは、「400試合連続出場を達成したベンドラメ礼生さんみたいに、まずはキャリアを通してケガをしない身体を作っていきたい」と抱負を語る。
そして、プレーヤーとして目指す選手像をこう続ける。「自分たちのエースガードであるアンソニー・クレモンズ選手のようなポイントガードになりたい。チームがピンチの時、自分で得点を取れたり、仲間を生かせるような選手になることが目標です」
すでにディフェンスではB1の舞台でもインパクトを残すハーパーだが、プレータイムを増やしていくにはオフェンス面での成長が欠かせない。特にアウトサイドシュートの精度向上が課題であることは本人も認識している。
「スピードには自信があるのでそれを生かしつつ、外と内の両方から得点を決めていきたいです。まだ、外のシュートが安定していないので精度を上げる練習をしないといけないと思います。その上で隆一さんのように外をガードされた時、内で得点を取れる選手になっていきたいです」
SR渋谷の持ち味は、規律の取れた質の高いハーフコートバスケットボールだ。しかし、良くも悪くも同じスタイルを40分間続けるチームであり、分かっていても止められない強さを見せたかと思えば、プレーの精度を欠くと対策されやすい脆さも垣間見せる。組織化されたバスケを基盤とするからこそ、ハーパーのような荒削りだがエナジー満点のプレーをする若者は、相手の対策を上回るアクセントとして重宝すべき存在だ。