ジミー・バトラー

バトラーの個人能力がウォリアーズの課題を解決

トレードデッドラインで獲得したジミー・バトラーの初戦となったブルズ戦は、ウォリアーズがバトラーを欲しがった理由が分かりやすく示された試合となりました。チーム戦術にフィットするには時間がかかるとしても、個人の強みでチームとしての課題を埋めてくれそうです。

試合開始からバトラーを起点にしたプレーからバディ・ヒールドの3ポイントシュート、ドライブからのファウルドロー、そしてバトラーがゴール下に走りこんでのアリウープダンクとウォリアーズが見事な連携で得点を奪います。新加入選手用に用意してきたプレーが早速上手くいった形でした。

しかし、スターターがベンチに下がると流れはブルズに傾きます。ジェイレン・スミスが前半だけで4本の3ポイントシュートを決めて14得点を奪ったのに対し、ウォリアーズはベンチメンバー全員で13得点に留まり、バトラーのトレードに絡んで4人が放出された層の薄さも露呈しました。

さらに後半開始3分半の間にコビー・ホワイトが3本の3ポイントシュート決め、ブルズのリードは24点にまで広がりました。今シーズンはリーグ2位のアテンプト数を誇るブルズの3ポイントシュート攻勢により、早々に勝負は決したかと思われました。

しかし、あまりにも決まりすぎるブルズの好調なシューティングは、史上最高のシューターであるステフィン・カリーに火をつける結果となりました。

ここから第3クォーターが終わるまでの8分半の間に、カリーは5本の3ポイントシュートを沈めて24得点を奪います。ステップバックシュート、オフボールムーブからの4点プレー、ショットクロックギリギリでのタフショットと『カリー劇場』が開演すると、24点あったビハインドが第3クォーター終了時には3点リードに変わったのです。

この大逆転が起きた要因として、ブルズのオフェンス問題もありました。ウォリアーズディフェンスが3ポイントシュートへの対応を優先すると、空いたゴール下へドライブするシーンが増えたものの決定力を欠き、得点が止まってしまったのです。この問題は今シーズンのブルズが抱え続けている問題ですが、そのままウォリアーズにも当てはまる問題となっており、カリーが外から決めてもインサイドを攻略できないことで得点が止まってしまいます。

逆転したとはいえリードはわずか3点。このまま勝ち切れるのか不安を抱きながら始まった第4クォーターでしたが、その不安はバトラーがあっさりと解消してくれました。フィジカルの強さを生かして有利なポジションを取ってのゴール下をねじ込めば、ドライブからのファウルドローで得点を重ね、開始4分半でリードを19点に広げたのです。バトラーは試合を通して25得点を奪いましたが、3ポイントシュートは1本もなく、得点はペイント内とフリースローのみでした。

ウォリアーズのペイント内得点はリーグ25位、フリースローに至ってはリーグ最下位と明確な課題でしたが、そこを解決したバトラーの活躍は、カリー頼みのオフェンスから脱却する可能性を示しただけでなく、「カリーが活躍すればするほど、バトラーも活躍する」という相乗効果も期待できる初戦となりました。