NBA

自分たちの得意な展開にどれだけ持ち込めるかが重要

NBAカップの決勝は、バックスとサンダーの顔合わせとなりました。スターターの平均年齢が30.6歳とベテランが多いバックスに対し、24.2歳と若手中心のサンダーという構図は、高さのアドバンテージを生かすバックスと、機動力で違いを生み出すサンダーという構図でもあります。お互いの長所が噛み合わないため、どちらが自分たちのリズムに引き込めるかで展開が大きく変わってきそうです。

バックスはペイント内失点の少なさではリーグ6位、セカンドチャンスの失点となるとリーグ4位と、ヤニス・アデトクンボとブルック・ロペスを中心にしたリムプロテクトに強みがあります。一方でサンダーのオフェンスは、速攻によるイージーショットが多いためペイント内得点はリーグ11位であるものの、セカンドチャンスは18位となっており、ここを抑えられても得点力に大きな影響は出てきません。

サンダーのディフェンスはリーグトップのスティールとディフレクションが特徴で、積極的なダブルチームからパスを促し、そのパスを機動力溢れるローテーションを生かして奪い取ります。これに対してバックスのオフェンスはアシストがリーグで6番目に少なく、パスワークよりも個人突破から組み立てる形になっており、パスワークを阻害されても影響はそれほど出ないでしょう。

お互いのディフェンスの特徴が相手のオフェンスの強みと合致しないため、チーム戦術での差は生まれにくく──そうなるとエース同士の個人能力が違いを生み出すファイナルになりそうです。

スモールラインナップを多用するサンダーは、アデトクンボの強引なアタックには苦労しそうです。また、アウトサイドに激しくプレッシャーをかけるとデイミアン・リラードの巧みなファウルドローに悩まされるかもしれません。良いディフェンダーは揃っているものの、1on1の対応で止めきれない可能性があり、ファウルトラブルも含めて様々な対応が求められそうです。

一方のバックスにはサンダーのスピードに対抗できるディフェンダーがいないため、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーとジェイレン・ウィリアムズの1on1への対処法が見当たりません。ヘルプディフェンスまで追い込めればいいものの、ジャンプシュートが上手い2人だけにシュートミスを祈るしかないシーンも多くなりそうです。

それぞれが相手への対処法に困りそうなだけに、相手のことを考えるよりも自分たちの得意な展開にどれだけ持ち込めるかが重要です。高さのバックスと機動力のサンダーという構図がはっきりしているだけに、お互いの良い部分が交互に見られる、見応えのあるファイナルになりそうです。