プレーオフ展望vol.8ロケッツvsジャズ エースに託すチームとエースを生かすチーム

2019/04/15
NBA&海外
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ドノバン・ミッチェル

文=神高尚 写真=Getty Images

全権を持つハーデン、フィニッシャーのミッチェル

昨シーズンはリーグ最高勝率でプレーオフに進み、ウォリアーズをあと一歩のところまで追い詰めたロケッツ。コアメンバーは変えずに今シーズンを迎えましたが、補強が失敗続きでチームのバランスが崩れ、不安定な戦いが続きました。それでも驚異的な得点力を発揮するジェームズ・ハーデンへの依存度を高めることで立て直し、4位まで順位を上げてきました。

ジャズは昨シーズンと同じ5位ながら、50勝と勝ち星を2つ伸ばしています。良いシーズンを過ごしたように見えますが、こちらもコアメンバーに変化がなかった割には勝ち星を伸ばせない苦しいシーズンになりました。チームでの連携力が売りでしたが、司令塔のリッキー・ルビオにケガが多く、平均26.5得点のドノバン・ミッチェルへの依存度を高めるようになりました。両チームともに、エースの個人技に頼ることで問題を解決してきたといえます。

1試合平均22.4回のアイソレーションを仕掛けるロケッツ。2位のサンダーでも10.5回なので異様な数字であることが分かります。対するジャズはリーグで最も少ない3.6回。ハーデンのアイソレーションがオフェンスのメインパターンとなるロケッツに対して、ミッチェルはあくまでもフィニッシャーという違いがあります。

すべてをエースに託して周囲はパスを待つロケッツと、全員でプレーメークし最後にエースを使うジャズは対照的ではありますが、選手全員が絡むチームオフェンスという点では同じです。

同じ相手と戦い続けるプレーオフではオフェンスパターンは丸裸にされるため、次第に個人の優位性を生かせるアイソレーションが増えてきます。昨シーズンのプレーオフではジャズでも10.6回と、どうしてもエースの個人技に頼ることになります。シーズン中でも異常にアイソレーションに頼っているロケッツがさらに増やせるのかは疑問が残りますが、お互いにアイソレーションの戦いになることを想定し、相手エースを止める方法を考えているはずです。

ディフェンスの軸ゴベアはハーデンを止められるか

ジャズのディフェンスはルディ・ゴベアが中心ですが、スピードに劣るビッグマンはハーデンのターゲットにされがちで、ジャズにとっては弱点になりかねません。試合開始からロケッツが徹底してゴベアを狙い、簡単に得点していくならばジャズはゲームプランを大きく変更する必要が出てきます。

スモールラインナップに対応できるディフェンダーが揃っていますが、戦術的に攻守でビッグマンを活用しているだけに、ゴベアを起用しないとなればチームバランスを大きく崩すことになります。そのため、できるだけスイッチしない守り方が求められます。

一瞬でも離すと3ポイントシュートを狙ってくるハーデンだけに守り方が難しかったのですが、サンダーやバックスはディフェンスの基本を無視してハーデンの左手側に大胆なポジションをとる守り方で成功するなど、様々なハーデン対策が登場しています。ハーデンのアイソレーションに頼っているロケッツだからこそ、対戦相手もそこに絞った対策を取ることができるのも事実。ジャズが採用する作戦次第では、今度はロケッツのゲームプランが狂ってきます。

互角の展開に持ち込めばジャズはミッチェルのアイソレーションで勝負に出られますが、ロケッツはセンターのクリント・カペラであってもガード相手に守れるペリメーターディフェンスを備えています。スイッチを多用しても誰もがオールラウンドに守れるのがロケッツの強みですが、今シーズン苦戦した理由は補強した選手が守り切れないシーンが増えたこと。選手同士の相性もあるので、ジャズからするとミッチェルと相性の良い選手を見極めたいところです。

ハーデンとミッチェル、エースの決定力がカギに

ジャズとしては試合を進めながら、攻守にロケッツ対策として有効な手段を見つけ出したいところ。アウェーで始まるシリーズだけに、初めの2試合で情報収集を完了し、攻守にアイソレーションで有利に立てればシリーズでの勝利も見えてきます。

ともにチーム力で戦っていますが、キーになっているのがエースの決定力だけに、エースの出来と相手の対策によってゲームプランが大きく変化してきます。細かな戦術的修正をしてくる両ヘッドコーチの特徴も考慮すると、細かい差が試合を決める要素になるかもしれません。

ジャズの方が有効な手段を講じそうなのですが、ケガ人が多く、大胆な策を採りにくい一面もあります。加えてハーデン以外にクリス・ポールのアイソレーションも使えるロケッツに比べると、ジャズにはミッチェルしかおらず苦戦が予想されます。