森井健太

9日の越谷戦で4連敗「厳しい状況になってしまった」

横浜ビー・コルセアーズは6勝8敗、東地区6位という成績でバイウィークを迎えた。河村勇輝という若きエースがチームを離れ、Bリーグで初めて指揮を執る外国人指揮官を迎えた今シーズンが、順風満帆なものになると考えていた選手はおそらくいないだろう。それでも実際に負けが込めば良い気持ちはしないし、必要以上に疑心暗鬼になってしまったりする。

11月9日の越谷アルファーズ戦に敗れた後、キャプテンの森井健太は「4連敗と非常に厳しい状況になってしまった」と言って、試合を振り返った。

「やられてはいけないところでやられたり、自分たちに波が来そうなところでターンオーバーをしてしまったり、まだまだ試合巧者になりきれないことを実感しました。試合に勝つためには重要なポゼッションでしっかり良いシュートで終わること、そしてそれがどの場面なのかという意識を全員で統一することが大事だと思うんですが、今日の試合は大事なところで自分たちのミスで相手に譲ってしまうことが目立った、苦しいゲームでした」

この日は特に、前半の出来が良くなかった。ラッシ・トゥオビヘッドコーチは「エナジー不足だった」と話し、森井はマインドセットがオフェンス寄りになっていたとその原因を明かした。

「前半で13点差がついたらカムバックはなかなか難しい。さらに、相手の流れが良く、シュートが入っている時こそディフェンスにフォーカスしなければいけないのに、自分たちのシュートが入らなかったり、プレーが思い通りに行かないことに目が向いていた。これはチームとしての問題だし、若いチームだからといって言い訳できないことだと思います。試合が続いていく中で、次に何をするか、自分が今、何を求められているかを考えてやらないといけません」

森井は「カムバックが難しい」と言ったが、前半13点差という状況は一般的にさほど絶望的なものではない。森井がそのようにとらえている理由の一つに、横浜BCの3ポイントシュート成功率の低さにある。第8節終了時点での横浜BCのそれはリーグ最下位の27.1%。この日も31本試投の16.1%だった。

「確かに3ポイントの部分は正直、今のチームの課題でなかなか入っていないというのが現状です」。森井はそのように言った後、改善策についても口にした。「コンテストされたシュートや、ボールが止まった状態で仕方なく打つシュートが多いと、なかなか難しいです。打つべき選手に打たせるということも、より意識しなければいけないと思います。全員がしっかり打ち切る力を磨くことももちろん大切ですが、自分が何をすべきかをまだまだ理解できていないようにも感じています」

森井健太

「正直難しい、でも成長するチャンスでもある」

森井はやり取りの中で、「チームの共通認識」や「自身の役割の認識」といったニュアンスをはらむコメントを多く口にした。ロスター12人中半数が新加入かつ首脳陣が入れ替わった横浜BCが、チームカルチャーの構築と浸透という点で多くの課題を抱えていることは明らかで、だからこそ、在籍年数の長い森井がキャプテンとして担う役割は大きい。自身のリーダーシップのあり方について、森井は次のように説明した。

「リーダーとしてどう振る舞うか、今のチームに僕の何が必要なのか、ということは常に考えています。河村選手という素晴らしい選手がいた去年と今年とではチームの状況も違いますし、練習中からチームの雰囲気を意識しながら、もっと自分が言わなきゃいけないと考えています。ヘッドコーチとも僕がもっとコミュニケーションをとらないと。初めてのBリーグで、ヨーロッパでは経験したことのない連戦を戦っていて、対戦相手のスタイルがまったく違うと思うので」

現在29歳。自分より年下の選手が多くなり、チームにおける立ち位置も変化した。だから悩む。「考えをできるだけポジティブに受け入れてもらわないといけないし、若い選手には生き生きとやってほしいので、僕が言い過ぎるのも良くないと思ったりもするんですが、違うと思ったことはちゃんと言わないといけない。コーチからは『思ったことはどんどん言ってほしい』と言われているので、コーチが厳しく指摘した時はフォローするような言葉をかけないといけないと思っていますし、コーチが言及しなくても1つのポゼッション、1つのミスの大切さはもっと伝えるべきだと思っています」

若手から指揮官までにおよぶ橋渡しを担い、チームカルチャーを構築するのはもちろん簡単なことではない。森井も「正直難しさもある」と言いながら「成長できるチャンスだと思うんです」と力を込めた。「リーダーの形っていろいろじゃないですか。『正解はこれです』って誰かに言われて見つかるものではないと思うし、もしかしたらシーズンをかけて探し続けるのかもしれません。でも良いチャレンジだと思って、今このチームに何が一番必要なのかということを常に模索しながら過ごしています」

約3週間におよぶバイウィークが明け、再び戦いが始まる。「12月は勝率の高いチームや中地区のチームとの対戦が多いので、すごい大事な月になる」と森井は言う。「チーム全体のスタンダードを上げていかないと絶対に勝ちには繋がらないし。バイウィークはそういうことを考えながら過ごしていかないと、という危機感を感じています。自分ももっと意識を高めることを言ったり、行動で示したりしていきたいです」

バイウィーク明け一発目の相手はシーホース三河。同じ中地区のライバルを相手に、横浜BCはキャプテンを中心とした意識改革の成果をどのように披露するのか。注目したい。