「我慢して勝ちきる」スタイルへの自信
琉球ゴールデンキングスは、京都ハンナリーズに連勝し、西地区での優勝を決めた。この2試合で安定した活躍を披露したのが古川孝敏で、6日は15得点、7日は14得点をマーク。さらに両日とも第4クォーターに7得点と要所での働きが光った。
琉球にとっては、名古屋ダイヤモンドドルフィンズと戦った水曜ナイトゲームで60-74と良いところなく敗れた後の難敵との試合。だからこそ古川は「ゲームプランをしっかりやりきらないといけない。そこに対して危機感と集中力を持って臨みました」と意気込んでいた。
この2試合の琉球は、ジュリアン・マブンガとデイヴィッド・サイモンにタフショットを決められても精神的に切れることなく、最後まで自分たちの目指すディフェンスを遂行。有言実行の我慢強さが連勝の原動力となった。
もちろん、相手の隙を的確に突き、一気にリードを広げて大勝するのが理想ではある。その部分でもっと高めていくべき部分があることは古川も認識しているが、同時に「うまく行かなくても我慢して勝ち切る。粘って勝てるのは大きいです」と手応えも得ている。
彼個人の出来に目を向けても、ここ6試合では平均13.5得点、フィールドゴール成功率48.3%と調子を上げている。もともと堅実でタフなディフェンスを武器とする古川のシュートタッチが良くなってくると、相手にとって大きな脅威となる。
しかし古川は、「オフェンスはいろんな味のある選手がいて、それぞれが良い意味で別のことをできます。その時、調子に乗っている選手を中心にしていけばいい」と、自分が攻撃の要であることへのこだわりがない。「オフェンスにマインドが寄らないようにしています。オフェンス第一になると自分にとっても良くない。まずはディフェンスでコンセプトを守りながら、チームに力を与えられることを意識しています」と守備からリズムを作っていくスタイルを重視する。
ただ、「ここぞの1本で自分にチャンスが来た時にしっかり決める。勝負どころで自分が得点を取ることをイメージしているところはあります」との覚悟は強く持っている。
「自分たちが格下とも、勝てないとも思っていない」
西地区王者となったことに古川は「地区優勝、チャンピオンシップのシード順がどうこうより、もっと上のところのイメージが大きいです」と、うれしさはあるが、あくまで通過点であることを強調する。だからこそ、レギュラーシーズンの残り試合も「最終的に自分たちがどの相手に勝たなければ優勝できないのかを考えて、常に全力をパフォーマンスで出す。そこのモチベーションを持たなければいけないとみんなも感じています」と試合に臨む気持ちは変わらない。
優勝するために勝たないといけない相手とは、勝率で琉球を上回る千葉ジェッツ、栃木ブレックス、アルバルク東京なども含まれる。下馬評でいえば、地区優勝を一番乗りで決めた琉球より、激戦区である東地区を戦うチームのほうが高い。
しかし、古川は「格上のチームみたいにとらえるのは嫌です」と言い切る。
「もちろん強いチームですが、自分たちが格下とも、勝てないとも思っていない。彼らに対しては単純に勝ちたい、それだけです」と、チャンピオンシップへ向けて闘志を燃やす。
では、そこで勝ちきるためのポイントはどこになるのだろうか。「自分たちのコンセプトを常にやりきる。それが崩れると負けてしまう。どうコントロールして戦うことが勝ちに繋がるのか、そこを大事にチームとして勝てるものを作り上げていきたいです」
琉球が過去2年を上回りファイナルの舞台に駒を進めるには、チームとして戦うことに加え、ここ一番での古川の打開力も必要になってくるはず。相手が強くなればなるほど、古川の存在感は強くなっていく。
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