文・写真=鈴木栄一

エース比江島が不発に終わるも攻撃力は落ち込まず

3月18日、シーホース三河がアウェーゲームで川崎ブレイブサンダースと対戦。桜木ジェイアール、ギャビン・エドワーズらの活躍により、ゴール下で主導権を握った三河が87-78で制し、前日に続いて地区1位同士の強豪対決を制した。

この試合、三河はエドワーズがチームハイの21得点に加え、5リバウンド7アシスト。そして桜木が10得点7リバウンド12アシスト。ビッグマンが2人で計19アシストと攻撃の起点として活躍した。比江島慎がファウルトラブルもあって4得点に終わった一方で、金丸晃輔が15得点をマークしている。

第1クォーターは、三河は故障の橋本竜馬に代わって先発ポイントガードを務めた狩俣昌也の3ポイントシュート、レイアップによる連続得点などで出だしに14-3と先行する。その後、川崎も追い上げ第1クォーターは三河の20-16で終える。しかし、第2クォーターに入ると三河は、ベンチスタートの選手たちが躍動。このクォーターで長谷川智也が8得点、エドワーズが7得点とチームを牽引すると、45-34とリードを広げて試合を折り返す。

第3クォーターに入っても三河は確率良くシュートを決めて試合の主導権を握り、2桁のリードを維持。ホームでの連敗を避けたい川崎は、第4クォーターに辻直人の奮闘で反撃を開始し、残り約4分半には73-75と詰め寄る。しかし、川崎の北卓也ヘッドコーチが「なんとか追い付くような展開はありましたが、やはり三河さんはインサイドが強い。リバウンドを取られてセカンドチャンスから決められ、最後は万事休すという感じでした」と振り返ったように、三河はここから持ち前の強力インサイド陣がオフェンスリバウンドからの得点を挙げて突き放し、粘る川崎を振り切った。

ベンチメンバーを含めチーム一丸の力を発揮した三河

三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは、「今日も最初から良い感じでディフェンスができて第3クォーターまで自分たちのペースでした。第4クォーターになると川崎さんの得意なプレーがたくさん出て非常に危ない展開となりましたが、なんとかしのいで勝てたことは良かったです」と総括。

強豪対決で連勝したが、「2連勝しましたが、これが川崎さんとウチの差ではないので、しっかり自分たちの良いところ、悪いところを見つめてプレーオフに向けて練習していきたいです」と、勝って兜の緒を締めている。

そして指揮官はこの2試合の勝因として狩俣、長谷川といったベンチメンバーの奮闘を挙げ、チームの底上げに好感触を得ている様子だった。「この2連戦、普段プレータイムの少ない選手が活躍してくれたことが間違いなく大きかったです。金丸、比江島が万全ではない中、彼らが非常に良い活躍をしてくれてチームのスパイスとなり、いつもと違う雰囲気が出たと思います」

守備の立て直し、辻の復調と川崎にも収穫があった第2戦

一方、ホームで痛い連敗となった川崎だが、攻守ともに良いところなしだった前日の大敗(65-92)とは違うプレーを披露。特に「昨日は全くできていなかったです」と北ヘッドコーチが語る守備のプレッシャーについて、「今日は出だしからかけすぎ、というくらいプレッシャーをかけてくれました。ただ、ウチはディフェンスのチームなので、これをベースにしていかなければいけません」と改善できたことは収穫だった。

また、故障明けでまだまだプレータイムを制限している段階の辻直人が、約25分の出場で25得点をマークしたのも明るい材料だ。「復帰したばかりの頃は接触が怖い面もありましたが、今日は怖がらずにいけました。今日これだけできたのは自信になりました」と振り返る辻は、最後は息切れの感もあったが計23本のシュートを放てたことにも手応えを得ている。

「本数を打てたことへの手応えは感じています。スクリーンを使ってから、自分でドリブルしてスペースを作ってからも打てました。まだ、安定していない分、確率は上がってきていないですが、今後の試合でもこういう場面を多く出せていけると思います」

勝った三河だけでなく、ホーム連敗と厳しい結果となった川崎も得たものは少なくなかった今回の強豪対決。互いに実力伯仲の相手と戦ったからこそ得た収穫であり、見えてきた課題をこれからのチーム作りにどう生かしていくのか。地区1位チームのチャンピオンシップに向けた歩みに注目だ。