カール・アンソニー・タウンズ

ビッグマンの層が薄い課題を解消する大型トレード

ニックスは本気で優勝を目指す補強に打って出た。ジュリアス・ランドルとドンテ・ディビンチェンゾ、1巡目指名権とのトレードで、ティンバーウルブズからカール・アンソニー・タウンズを獲得すると『The Athletic』がスクープした。

ジェイレン・ブランソンとOG・アヌノビー、ジョシュ・ハートといった戦力を擁して急上昇中のニックスは、今オフすでにミケル・ブリッジズを獲得していた。それでもアイザイア・ハーテンシュタインが退団したセンターでは、もう一人の戦力であるミッチェル・ロビンソンがケガがちで、今シーズンも開幕に間に合わず。パワーフォワードのランドルもケガから復帰するところで、ビッグマンの選手層が課題となっていた。

ティンバーウルブズは昨シーズンにカンファレンスファイナル進出と躍進したが、アンソニー・エドワーズのマックス契約に加えてジェイデン・マクダニエルズの新契約も始まり、サラリーのバランスが崩れていた。タウンズより年俸が安い上、プレーヤーオプションとなっている2025-26シーズンで契約が終わるランドルとのトレードでバランスを取った形だ。

それでも両チームのファンにとってショックは大きい。タウンズは2015年のNBAドラフト全体1位指名選手で、9シーズンのキャリアのほとんどで勝てない時期にあったウルブズを支え続けてきた。ランドルは生え抜きでこそないものの、2019年にニックスに加入し、リーダーとしてこちらも勝てない時期にあったチームを盛り立ててきた。

それでもやはり、喪失感が大きいのはウルブズだ。ランドルはまだまだ働けるし、ディビンチェンゾも2018年のデビューから移籍を繰り返しつつタフに戦えるバランスの良い選手へと成長してきた。それでもタウンズのウルブズでの存在感は埋められない。ミネアポリスは黒人男性ジョージ・フロイドが白人警官に押さえ付けられて死亡し、『Black lives matter』運動の発端となった地。その現場は犠牲者の死を悼む場として多くの人が訪れているが、タウンズはその整備費用を負担している。チームへの愛着のみならずコミュニティへの愛着も人一倍強かっただけに、そのショックは計り知れないものだろう。

ニックスはこの補強でセルティックスと同じかそれ以上の優勝候補の本命へと躍り出る。これも『NBAのビジネス』ではあるが、タウンズはその戦いの前に気持ちを整理しなければならないはずだ。