「共に強く立ち向かおう」

アメリカは11月5日の大統領選挙を前に、民主党のカマラ・ハリス副大統領、共和党のドナルド・トランプ前大統領による激しい選挙活動が繰り広げられている。そんな中、NBAではウォリアーズのスティーブ・カーヘッドコーチ、ステフィン・カリーが民主党の党大会に登場するなど、ハリス氏を指示する声が大きい。

その大きな要因は、トランプ氏が何度も人種差別的な発言を行なってきたからだ。これは選手を問わずリーグ全体として世界中から多種多様なバックボーンを持った人たちで構成されているNBA関係者としては許容できない。前回トランプ氏が大統領だった時、恒例行事である優勝チームのホワイトハウス訪問がなくなったことは、両者の関係悪化を象徴する出来事の一つだ。

今回の大統領選挙においてもトランプ氏は差別的発言を行い、NBA界隈は反発している。ことの発端は、トランプ氏が大統領候補テレビ討論会において「オハイオ州スプリングフィールドのハイチ系移民が、犬や猫など住民のペットを捕まえて食べている」という根拠のない主張を行ったことだ。オハイオ州選出の上院議員である共和党のJ・D・バンス副大統領候補がこれに同調したことも手伝い、現地を中心とするハイチ系移民が不当な迫害を受け、人種差別行動が助長されていると問題視されている。

ハイチ系の人々に対するヘイトが増している中、多様な人々が住まうマイアミを拠点とするヒートは、SNSを通じて次の声明を発表した。「マイアミ・ヒートのスタッフは、マイアミの地域と同じくハイチ系コミュニティーの人々も含めた多様で活気に満ちた文化で構成されています。彼らに対する誤った話は痛ましく、攻撃的で、残念なことに無実の人々を憎悪に満ちた言論や身体的な脅迫の危機にさらしています。私たちのハイチ系の職員、ファン、そして友人たちはもっと良い対応を受けるに値します」

声明はハイチ・クレオール語で「共に強く立ち向かおう」を意味する、迫害を受けている人々への全面サポートを表明する言葉で締めくくられている。

今回の一件も含め、トランプ氏が再び大統領になった場合、NBAとホワイトハウスの関係が再び悪化することが予想される。また、これから大統領選挙に関するNBA選手たちの意見はより活発になっていき、メディアを賑わせる回数が増えてくるだろう。