「強豪のディフェンスも崩せた手応えはあります」
東海大学付属福岡は地元開催のインターハイでベスト4に進出。準決勝では岐阜女子を相手に勝利まであと一歩の大健闘を見せるも、最後の最後で逆転されて敗れた。
東海大学付属福岡はチャラウ・アミ、岐阜女子はディヤイ・ネイと、いずれも強力な留学生プレーヤーを擁するチームだが、その武器を使いこなす点では実績に勝る岐阜女子が上。どちらもディフェンスを前面に押し出す重い展開の中、ゴール下でのポジショニングにステップの踏み方、相手の出方に応じたプレー選択でネイが上回った岐阜女子が第1クォーターを14-4と先手を取った。
それでも第2クォーターになって東海大学付属福岡が速い展開からの3ポイントシュートを3本立て続けに決めて猛追し、アミがゴール下でネイをかわしての得点を決めて追い付く。第3クォーター開始直後に東海大学付属福岡が逆転に成功。速いテンポを作り出せるのは、味方のスピードに合わせてリムへと走り続けるアミの奮闘が大きかった。これに対してネイもしっかり追いかけるが、『走らされる』のが何度も続いて消耗していった。
走る展開を岐阜女子に封じられても、第1クォーターとは違って粘り強いディフェンスでイージーなシュートを打たせず耐え、東海大学付属福岡が優位をキープして試合は終盤へと入っていった。
岐阜女子は相手の望む速い攻めに持ち込ませず、ディフェンス勝負に持ち込んでチャンスを待つ。これに対して東海大学付属福岡は良いオフェンスを組み立てられない。足は動いていたが気持ちに余裕がなく、ミスマッチを突くなど適切なプレー判断ができず、自らタフショットを打つような攻めを続けてしまう。
それでも東口紅愛がビハインドパスをアミに合わせるビッグプレーが飛び出し、東海大学付属福岡が47-44と決定的なリードを奪ったかに見えたが、続く攻めでは東口とアミのピック&ロールを岐阜女子のディフェンスが見事に封じ込める。
クラッチタイムではビッグプレーも大事だが、それ以上に冷静さが必要となる。残り1分を切って、1点リードしているにもかかわらず24秒で攻めきれずエアボールとなるディープスリーを打たされた東海大学付属福岡に対し、タイムアウトを取って一息入れた岐阜女子は自分たちの強みであるネイにきっちりボールを入れて、フリースロー2本を決めて48-47と逆転に成功。これが決定打となり、岐阜女子が逆転勝利を飾った。
「やるしかないという気持ちでしたが……」
あと一歩ではあったが、チームの成熟度に差があったのも確かだ。ただ、まだ経験の浅い下級生チームであり、宮﨑優介ヘッドコーチは「下級生チームですからオフェンスで上手くいかない時間帯がどうしても出てくる懸念はありました。ディフェンスはマンツーマン以外をしっかり準備して、これはこの大会を通してすごく良かった。ミスが続いても気持ちを切らさずディフェンスで粘ったところは選手たちを褒めてあげたいです」と語る。
予選では決勝リーグで精華女子に敗れて福岡県2位での出場。それでも全国ベスト4まで勝ち上がり、チームは着実に成長している。「ペイントへの良いパスが何本も通りました。春には全く通らなかったので、強豪のディフェンスも崩せた手応えはあります」
チームとしてはもちろん個人としても、留学生のアミだけでなくビッグショットを何本も決めた根間芙奈、クラッチタイムに素晴らしいアシストを見せた東口紅愛といったタレントがこのインターハイで自信と経験を手に入れている。東口は大会前にケガをして、インターハイには間に合ったものの万全のコンディションではなかった。彼女は腕に『大丈夫』とペンで書き入れてプレーしており、その理由を「自信があまりなかったからです」と言う。
クラッチアシストは見せたが、チームを勝利に導くプレーメークはできなかった。「やるしかないという気持ちでしたが、ただどうしたらいいか分からなくて……。負けて悔しいです」と語るも、「ウインターカップでは全国制覇できると思うので、全員で練習を頑張ります」と続けた。