「緊張してる場合じゃない、もうやるしかない!」
8月4日、福岡県でのインターハイが開幕した。優勝25回の実績を誇る桜花学園は、1回戦で八雲学園と対戦し、立ち上がりこそ2-8と出遅れたものの開始5分で逆転。それ以降は時間の経過とともにリードを広げ、79-59の快勝スタートとなった。
1年生から主力を張るエースの深津唯生が21得点24リバウンドで勝利の立役者となったが、八雲学園の195cmの留学生プレーヤー、ジォップ・ソファナとのマッチアップが一つのポイントだった。先発センターを務める184cmの白石弥桜がファウルトラブルになる中でチームを救ったのが、2番手で登場した三間萌だ。身長は181cmでソファナとは高さの差があったが、粘り強いディフェンスで抑え込む。スタッツには残らない三間の献身的なプレーが、桜花学園に流れをもたらした。
井上眞一ヘッドコーチは「白石のファウル3つが苦しかった」としつつも、そのピンチを救った三間のプレーには「まあ普通だったね。特に良かったわけではない」と素っ気ないが、それは彼女の実力を買ってのことだろう。
その三間は「スタートの白石に何かトラブルがあった時に自分が繋ぐという思いで頑張りました。入った時は緊張していましたが、最初の1プレーで『緊張してる場合じゃない、やらなきゃ』という気持ちが大きくなって、もうやるしかない、って」と語る。
「自分が出る時にやることはディフェンスとリバウンドだとずっと言われてきました。それに、今までずっと留学生とのマッチアップをイメージして練習してきたので、それをコートで表現するつもりでした。ディフェンスでは相手に絶対思い通りにはやらせない、リバウンドはボックスアウトを徹底しようという気持ちでした」
「自分がゴール下から声を出して周りに伝えよう」
三間は留学生プレーヤーに気迫全開で立ち向かうだけでなく、コート上で声を出す姿も目立った。ベンチから出た三間が声を出し、スタートで出遅れた先発陣を鼓舞したことも、試合の流れを変える大きな要因となった。
「コート全体が見えるのはゴール下です。自分がゴール下から声を出して周りに伝えようという意識でした」と三間は言う。
八雲学園は手強い相手で、さらにスタートで出遅れファウルトラブルと厳しい要素が相次いだが、それを跳ねのけての初戦快勝となった。これでチームは勢いに乗れそうだが、目指すは全国制覇だ。
ここ2年は京都精華学園が優勝し、深津や三間といった3年生は優勝を経験していない。だからこそ三間は力強く語る。「今年こそは絶対に日本一になりたいです」