ロケットスタートの千葉が終始試合をコントロール
アルバルク東京vs千葉ジェッツの水曜ナイトゲーム。今シーズンここまでの3試合すべてが5点差以内での決着と実力が拮抗する両者の対戦だったが、攻守に上回った千葉が76-62と大勝した。
「ここ数試合なかったくらい集中して、ディフェンスから自分たちのトランジション、自分たちのリズムが来ることを全員が意識してやった結果、ビッグクォーターを作ることができた」と大野篤史ヘッドコーチがそう振り返ったように、千葉は試合序盤からエンジン全開で第1クォーターを圧倒した。
千葉は相手のピックでズレが生じても、ヘルプに行ったり行かなかったりの駆け引きで、ボールマンの迷いを生み、思い切りの良いシュートを打たせない。さらに、スムーズなディフェンスローテーションで時間をかけさせ、タフショットを誘発した。
ディフェンスが機能すればオフェンスにもリズムが生まれる。富樫勇樹のプッシュからマイケル・パーカーの速攻、石井講祐の3ポイントシュートと理想のバスケットを展開。石井の2本目の3ポイントシュートが決まり、開始3分で14-4と2桁リードを奪った。
A東京はタイムアウトを取るも、アレックス・カークへのアリウープパスが合わなかったり、馬場雄大の3ポイントシュートがエアボールになるなど、攻めにリズムが出てこない。至るところからボールに手が伸び、第1クォーターだけで5ターンオーバーを誘発し、そこから10得点を挙げた千葉が、27-12とロケットスタートに成功した。
第2クォーターに入り、一時点差を20の大台に乗せられたA東京だったが、終盤にポイントガードを外し、馬場が富樫のマークにつくことで、ようやく千葉オフェンスを停滞させる。竹内譲次の3ポイントシュートで締め、15点ビハインドで前半を終えた。
14本中成功わずか5本、自らの首を絞めたフリースロー
後半の出だしは、A東京がディフェンスからペースをつかんだ。ギャビン・エドワーズのローポストにダブルチームを仕掛けて起点を作らせない。残り6分、4本すべてのフィールドゴールを成功させたカークのバスケット・カウントで36-46と反撃した。
だが、大野ヘッドコーチが「アルバルクさんのフリースローが入っていれば、こういうゲームではなかったと思っています」とコメントしたように、A東京はフリースローが鬼門となった。
まず、カークがこのボーナススローを決められず、1桁に戻すチャンスを逸すると、田中大貴とミルコ・ビエリツァがそれぞれ2本のフリースローを連続でミスするなど、このクォーターで獲得した7本のフリースローを1本しか成功できなかった。
点差を縮める好機を立て続けに逃したことで、流れは一気に千葉へ傾く。石井が抜群の読みで速攻を狙うパスを2本カットし、それを逆速攻に繋げ、西村文男が3ポイントシュートを沈めた。ピンチの後にチャンス有りとはよく言ったもので、カークのフリースロー失敗後から11-0と走った千葉が再び点差を20に乗せ、勝負を決めた。
大野ヘッドコーチ「ベストに近いゲームだった」
チームが勝ったとしても悪かった部分に目を向け、内容を大事にする大野ヘッドコーチだが、今回の試合に関しては「ベストに近いゲームだった」と満足な様子。「40分間で流れが来ない時に、いつも誰かの個の力で打開しようとしたところを、ボールをしっかり回せた」と振り返ったように、千葉はチームハイのジョシュ・ダンカンの20得点を筆頭に、5人が9得点以上を挙げ、さらに出場した9選手全員が得点を記録するバランスの良さを見せた。
一方、敗れたA東京の指揮官、ルカ・パヴィチェヴィッチは「第1クォーターの出だしから終了のブザーが鳴るまで、ほとんどの時間帯を千葉にコントロールされてしまった。今日のようなビッグゲームは戦う姿勢とパフォーマンスレベルがとても大事になり、そこが全く足りていませんでした」と、総括した。
千葉ディフェンスの前に、完成度の高いオフェンスが影を潜め、「千葉のディフェンスが機能して、しっかりとオープンな形を作れなかったのは事実」と、完敗を認めた。
今日の勝利で千葉はA東京との対戦成績を3勝1敗とした。レギュラーシーズン最終盤の4月13日と14日に、両チームは再び相まみえる。千葉が勝ち癖をつけるか、それとも、A東京が苦手意識を払拭するのか。1カ月後にその答えが分かる。
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