ジェームズ・ボーレゴ

元ホーネッツ指揮官のボーレゴは両チームの候補に

レイカーズのヘッドコーチ候補だったダン・ハーリーは、6年7000万ドル(約110億円)とも言われるオファーを固辞してコネチカット大に残ることを決めた。レイカーズはチームの中長期的な成長を託せるコーチを探すべく、焦らずじっくりと人選を進めているが、レブロン・ジェームズが新シーズンの選手オプションを行使するかどうかを決める期日が6月29日で、それまでには新体制をある程度は固めておく必要がある。

ハーリーより以前に名前が挙がっていたJJ・レディックは、再び有力候補に返り咲いた。『The Athletic』によれば、この週末にレイカーズ首脳陣とレディックは面談を行う予定だ。もう一人の有力候補はマジックやホーネッツを率いた経験があり、今シーズンはペリカンズのアシスタントコーチを務めるジェームズ・ボーレゴだ。彼はすでに先月下旬の時点でレイカーズに招かれて首脳陣と面談を行い、練習施設の見学なども行っている。

レディックは現役引退からまだ数年しか経っておらず、今月40歳となる若さ。引退後は解説者をやっていてコーチ経験は全くないが、もともと高いバスケIQでNBAを生き抜いてきた選手であり、レブロンとともにポッドキャスト番組を運営するなど選手との関係も深い。一方のボーレゴも46歳とまだ若いが、グレッグ・ポポビッチのアシスタントを長く務めるなどコーチキャリアは20年になる。

叩き上げのボーレゴか、カリスマ性のレディックか。レイカーズはそろそろ決断を下すべき時だ。そして、その動きを見守っているのがJ.B.ビッカースタッフを解任したキャバリアーズだ。

キャブズも新ヘッドコーチを誰にすべきか、じっくり時間を掛けて見定めている。候補はボーレゴとケニー・アトキンソンに絞られているようだ。アトキンソンはネッツのヘッドコーチとして若いチームを急成長させた実績の持ち主で、現在はウォリアーズのアシスタントコーチを務めている。

ホーネッツでのボーレゴは、オフボールの動きや流動的なポジションチェンジを重視し、ドライブと3ポイントシュートを組み合わせたオフェンスを組み上げた。アトキンソンのネッツも多彩なオフェンスを武器としながら、ベースにはあくまでハードワークのある見応えのあるバスケで再建を成し遂げている。ビッカースタッフは攻守ともに基本に忠実で、選手たちの地力を高めることに専心してきたが、新コーチ候補の2人はいずれももう一段階上に行くべき時期を迎えたキャブズに革新的な戦術をもたらすことが期待される。

興味深いのは、レブロンとアンソニー・デイビスを擁するレイカーズが中長期的な視野に立ったチーム作りを重視しているのに対し、若手中心のキャブズが来シーズンにでも『勝てるチーム』にならないといけないと考えていることだ。これはドノバン・ミッチェルに長くチームに残ってもらうために、彼を納得させるだけのチーム作りを推し進めなければならないキャブズの事情がある。

レイカーズとキャブズはそれぞれ異なる事情を抱えながら、来シーズンの捲土重来を実現してくれる指揮官選びに結論を出そうとしている。