新シーズンからニック・ファジーカスの母校、強豪ネバダ大に転校する注目株
現在、男子日本代表は6月22日、23日に行われるオーストラリア代表との強化試合へ向けた強化合宿を行なっている。ワールドカップ2023出場メンバーを筆頭に、トム・ホーバス体制におけるお馴染みのメンバーが選出されている中、注目の若手選手の1人が207cmの山ノ内勇登だ。
福島県の会津若松市出身の山ノ内は、生まれてから5歳まで同市で過ごし、その後にアメリカへ渡った。山之内は2019年の当時16歳の時点で、日本代表の育成キャンプに招集されるなど早くから注目され、2021年のU19ワールドカップに出場した。そして2022-23シーズンはラマー大、昨シーズンはポートランド大とNCAA1部でプレーし、今秋からの新シーズンは強豪ネバダ大への転校が決まっている。
ネバダ大といえば今シーズン限りでの引退を発表したニック・ファジーカスの母校で、ファジーカスは同校の永久欠番となる。そのことを山之内に聞くと、「知っていました。僕は彼のことを知っていますけど、彼は僕のことを全然知らないと思います」と、まだ面識はない模様だ。
ネバダ大は2023年、24年を含むここ8シーズンの間で5度NCAAトーナメントに出場している強豪校。山之内はネバダ大を転校先に選んだ大きな要因がトーナメントにあると語る。「(NCAA)トーナメントに出たいのが主な理由です。ネバダはたくさん出ていますし、全米でトップ30に入るチームだと思っています。こういった上位のチームに入れるチャンスを逃すことができないので転校を決めました」
過去2シーズンの山之内のプレーを見ると、1年目と2年目では大きな変化がある。ラマー大に在籍した1年目は28試合出場で平均6.9得点、7.1リバウンド。昨シーズンは、よりレベルの高いカンファレンスに属するポートランド大で故障もあって12試合出場に留まったが、平均8.6得点、5.2リバウンドを記録。そして特筆すべきは3ポイントシュートで、1年目は1試合平均の試投数が0.4本で成功率16.7%だったのに対し、昨シーズンは平均3.8本の試投数で成功率35.6%と大きな武器になっている。
「3ポイントシュートを打てて、リバウンドも取れる2ウェイ選手になりたい」
「外のシュートはより自信が増しました。強みになっていると思います」。こう本人も自信を見せる長距離砲に加え、フットワークにも磨きがかかったと自負する。U19ワールドカップの時の山之内はがっちりした体格のパワータイプだったが、当時と比べると今はかなり身体が絞れている。
「U19の時とは、自分でも別人だと思っています。当時はコロナ禍もあって、体育館になかなか行けなかったです。思うようにトレーニングができなかったことが影響していました」と明かしたが、現在の自分の持ち味をこのように語る。「このサイズの選手としては、速く動くことができると思います。うぬぼれているつもりはないですが、日本人で自分と同じようなサイズで、この機動力を持っている選手はあまりいないと思っています」
また、今秋からボストンカレッジに入学するテーブス流河など、NCAA1部でプレーする日本人選手が増えていることを歓迎している。「他の日本人選手がどんどんNCAAのD1(1部)の学校に入るのはうれしいことです。アメリカでもD1に入れる選手は本当に限られています。日本バスケ界の未来がより明るくなり、自分にとってもモチベーションになっています」
「3ポイントシュートを打てて、リバウンドも取れる2ウェイ選手になりたい」と意気込む山之内は、理想とする選手像をグリズリーズのジャレン・ジャクソンJrと語る。トム・ホーバス体制にとって3ポイントシュートは最重要ポイントとなる。そこにリーチの長さと高さを生かしたディフェンスでもアピールできれば、山之内がパリ五輪の代表争いに食い込む可能性は大いにある。