17歳で204cm、U22日本代表で奮闘する市川真人の夢「多彩さがあるビッグマン」

2019/03/08
プレーヤー
18066

市川真人

文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

2月下旬から3月中旬にかけて行われているバスケットボール男子U22日本代表のスプリングキャンプ。代表候補30名の最年少が市川真人だ。4月に静岡学園の3年生となる市川は、身長は30人のうちトップの204cm。このチームで中核となる大学3年生と比べると4歳下になるが、フィジカルでも見劣りはしない。特に腰から下はガッチリと力強さが感じられる。「3歳で110cmありました」と笑う市川はキャリアを通じてサイズの優位を有してきたが、彼自身は常にプレーの幅を広げることを意識している。プレーヤーとして挑戦する日々を市川に語ってもらった。

「なぜこんなに伸びたのか、自分でも分かりません(笑)」

──覚えている範囲で、「何歳の時に何cmあった」というのを教えてもらえますか?

結構覚えているんですよね。3歳の時に110cmぐらいで、小学校入学が138cm、卒業が183cmです。中学の最初が185cmで、一番伸びたのが中1から中2の間で10cm、中2で195cmになって、卒業する時に201cm。今が204cmです。もう止まったと思うんですけど(笑)。成長痛はかなりあって、特に中1とか中2の夏は毎日痛くて痛くて。痛み止めを飲んでいた時もありました。

──3歳で110cmということは、バスケを始めた時点で大きかったですね。

そうですね。バスケを始めたのは小学校2年生の時です。僕は背は高かったんですけど幼稚園の頃から病弱で、1カ月に1回は風邪になっていたんです。友達の親から体力作りのためにと勧められて、小学校でやっているミニバスを始めました。スポーツというよりはお遊びですね。なんとなく楽しめればいいかな、という感じで。それでも小5の終わりとか小6の最初ぐらいには、このままバスケを続けていきたいと思うようになって、中学になってやっと本格的にバスケをやるようになりました。

──ご両親も大きいですか?

お父さんが189cmで、お母さんが162cm。お母さんは普通ですね(笑)。ハーフでもクォーターでもないし、親にも「なんでそんなに伸びた?」と言われます。それは自分でも分かりません。

──生まれも育ちも静岡県の磐田市ですよね。サッカーどころの静岡県、ジュビロ磐田がある環境で、サッカーをやろうとは思いませんでしたか?

サッカーは全く考えたことがないです。お父さんはバレーボールをやっていたので、そっちはちょっとあるかなと思ったんですけど(笑)。今も自宅からの通いで、磐田から静岡まで毎日始発で通っています。

市川真人

「ミスも何かしらの形で改善して、成長していく」

──遊び感覚のミニバスから今に至るまで、自分より大きい選手とマッチアップする機会はほとんどなかったんじゃないですか? 高さで優位を得られることをラッキーだと思いますか?

高校でやっている分には、ガードとかがスイッチした時に上からポイっとシュートを決めたりできるし、リバウンドでも小さい選手の上から取ったりすることもあるので、身長があって有利だと思うシーンはたくさんあります。でも、ウチの高校にも190cmの選手がいて、細いんですけど腕が長いその選手とマッチアップすると結構やりづらいので、当然ですけど身長だけではやっていけないですね。

──U22に最年少で招集されています。年上の選手と一緒にやった感触はどうですか?

この中だと技術もフィジカルも全然足りないです。そこは今ここで補うことはできないので、この中で一生懸命やるだけです。ミスも何かしらの形で改善して、成長していく感じだととらえているので。比べてしまえば自分に足りない部分はいっぱいありますが、そこは1年か2年かけて自分が伸びると信じてやっています。

同じインサイドの選手で比較しても、みんな高さがあるだけじゃなくプレーの引き出しがいろいろあって上手いという感じです。でも、追い付く時間は十分にあるはずです。このチームは大学生がメインで、高校生は僕を含めて4人しかいないんですけど、大学生も高校の時に努力したおかげで今そういうプレーができているんだと考えています。自分も高校生のうちにちゃんと努力しておけば、大学生になった時には同じプレーができるようになるんだ、と。最近は身体を当てながらブロックをかわしていければと、フックシュートを練習しています。

──では、ここナショナルトレーニングセンターで具体的に身に着けたいものはありますか?

自分の課題はディフェンスで、ビッグマン相手の守り方があまりできていません。大学生のトップ選手とのマッチアップは、高校の留学生と同じ感じでやれるので、そこでどういうディフェンスをすればゴール下でイージーシュートを打たれないのか。ドリブルをつかせてタフショットを打たせるディフェンスを、ここで少しでも学べたらと思います。

短い期間で学べることは多くないかもしれないですけど、得たことの一つひとつを自分の中でレベルアップさせれば、それぞれが使えるプレーになっていくと考えています。

市川真人

「身長があるけど多彩さがある選手が理想です」

──そんな努力を重ねていく中で、プレーヤーとしての自分の将来像はどう考えていますか?

身長があるんですけど、ポイントガードまでできる多彩さがある選手が理想です。NBAだと自分の身長でポイントガードをやっている選手は少なくありません。ずっとセンターをやっているのですが、いろんなプレーができるようになりたい、という思いがあります。

3ポイントシュートは試合でも普通に打ちます。中学2年の時、県選抜の仲間から「3ポイント対決しようぜ」と言われて初めて3ポイントシュートを打ったんですけど、意外と決まったんです。それで先生からも「シュートタッチが良いから試合でも使ってみい」と言っていただいて、センターだけど3ポイントシュートもちょっとずつ打つようになりました。それまではゴール下が中心でしたが、アウトサイドから打つのは楽しいですね(笑)。

──シンプルに楽しいからプレーの幅を広げたい、という思いがあるわけですね。

だから自分の欲としてはポイントガードまでできれば理想だなって。チームをまとめて動かすプレーができたらなと思います。それでも身長がこれだけあるので、高校でも大学でも留学生がいたらマッチアップすることになると思います。どんどんレベルアップしていく留学生に負けないように自分も頑張るのが今は第一です。

──先ほどNBAの話が出ましたが、自分のキャリアとしてはNBAを目指している?

自分がイメージしているのはBリーグです。まずは大学に行って留学生にチャレンジして、Bリーグになれば本格的なNBA経験のある外国籍選手ともマッチアップすることになります。そんな相手にどんなチャレンジができるか。そこで外国籍選手に負けないようになったらNBAに行きたいと思います。

Bリーグの試合はめっちゃ見ています。シーホース三河と三遠ネオフェニックスの試合を見ることが多いです。好きな選手はアレックス・カーク選手(アルバルク東京)と桜木ジェイアール選手(三河)です。

──カーク選手も桜木選手も、サイズだけじゃなくプレーの引き出しの多い選手ですね。日本代表ではどうですか?

もちろん見ています。今まで一番印象に残ったのは実際に見に行った試合で、浜松アリーナでやった日本代表とジョージ・ワシントン大の試合です。そこで渡邊雄太選手のプレーを見ました。大学生なのにあんなに動けるのか、と衝撃を受けました。

──4月には3年生になります。『自分たちの代』の抱負を教えてください。

僕たちは藤枝明誠にここ何年か一度も勝てていなくて、県の大会で1位を取ったことがありません。今年は県大会を勝ち抜いてインターハイ、ウインターカップに出場することが第一です。全国大会に出場して満足するチームだとも思っていないので、そこで一つでも多く勝てるチームになりたいです。高校では悔しい経験しかしていないので、絶対に達成したいです。