富永啓生

クリッパーズ、キングズ、ブルズのワークアウトに参加

6月6日、ネブラスカ大を卒業した日本代表候補の富永啓生が、愛知県一宮市で帰国記者会見を行った。富永は前日5日の夜に帰国。「実家に戻りましたが、疲れていたのですぐに寝ました」と笑った。

愛知・桜丘高3年次にウインターカップ3位入賞、大会得点王、3ポイントシュート王獲得という実績を残した富永は、2019年夏、短大のレンジャーカレッジでアメリカでのキャリアをスタートさせた。2021年に転校したネブラスカ大でもエースシューターとしてチームを勝利に導き、最終年となった今シーズンは同校10年ぶりとなるNCAAトーナメント出場に貢献。さらに日本人選手として初めてNCAAオールスターゲームに出場し、3ポイントコンテストで優勝まで果たした。

「中心選手として(勝敗を)託されるような選手になったことも、目標としていたマーチマッドネス(NCAAトーナメントの愛称)にチームを導けたことも、とてもうれしかったです。チームとしても個人としても良いパフォーマンスができたんじゃないかと思います」

富永は今シーズンをこのように総括した後、卒業式当日が夏日で暑かったことや、今年1月の(当時全米1位だった)パデュー大へのアップセットは特に思い出深いものになったということを話した。

富永はかねてよりNBAプレーヤーになることを自身の最大の目標としている。大学のシーズン終了後は、富永が把握する限り10チームほどのNBAチームからワークアウトの招待を受け、クリッパーズ、キングス、ブルズのそれに参加。いずれもスキルワーク、1対1、2対2、3対3というシンプルなメニューだったと富永は話したが、武器の3ポイントシュートだけでなく、今シーズン特に磨いた判断力やフィジカルなどもアピールできたとコメント。昨年参加したペイサーズのワークアウトと比較し「すごく自信を持ってやれたし、良いパフォーマンスができたんじゃないかと思います」と振り返った。

ちなみに「トランジションスリーとか早いペースでプレーするチームなので、自分に合うんじゃないかと思う」と話すキングスのワークアウトでは、マイク・ブラウンヘッドコーチから「いい動きをしていたよ」というような言葉をかけられたそうだ。

富永啓生

「日本バスケの新しい歴史を作っていきたいです」

この時期に日本に戻ってきたことからもわかるように、富永はこれから日本代表チームに合流し、パリオリンピックに向けたトレーニングをスタートさせる。今後行われる各チームのワークアウトや、NBAの登竜門とされるサマーリーグには出場せず、代表活動に専念すると明言。「パリで活躍して、より多くのチームからオファーをもらえたらと考えています」と話す通り、パリ五輪で良いパフォーマンスを見せ、そこからNBA入りの活路を開くという青写真を描いている。

「ワークアウトは代表合宿に戻るまで、と自分で決めていました。NBAはもちろんですが、代表、そしてオリンピックに対する思いも強いので。日本バスケの新しい歴史を作っていきたいし、オリンピックはたぶん一生忘れられない出来事になると思うので、悔いのないようにやっていきたいです。まずは自分たちのバスケを出し切ることで結果がついてくると思う。100%、いや、120%の力を出したいです」

昨年の『ワールドカップ2023』で、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ天性のシューター。幼い頃から思い描く夢へのステップアップのためにも、世界最高峰の舞台を楽しみ、歴史を変えるというミッションを楽しみ、多くのシュートを沈めて我々を楽しませてくれることに期待したい。