ブランディン・ポジェムスキー

「ルーキーイヤーから何らかの成果を出したかった」

失望続きのレギュラーシーズンを経て、プレーオフ進出を果たせずシーズンを終えたウォリアーズにとって、さほど多くない収穫の一つがブランディン・ポジェムスキーのブレイクだった。NBAのオールルーキーファーストチームに選ばれたのは、全体1位指名のビクター・ウェンバニャマ(スパーズ)と2位指名のブランドン・ミラー(ホーネッツ)、2022年の全体2位指名のチェット・ホルムグレン(サンダー)の上位指名組に、18位指名のハイメ・ハケスJr.(ヒート)と19位指名のポジェムスキーだった。

ウォリアーズは経験豊富なチームである反面、若手を成長させる余地がない。ジョーダン・プールの可能性に見切りをつけたオフを経ていただけに、ポジェムスキーのブレイクは彼自身だけでなくウォリアーズにとっても大きな成果と言える。

ポジェムスキーは74試合に出場し、そのうち28試合に先発。平均26.6分プレーして9.2得点、5.8リバウンド、3.7アシスト、3ポイントシュート成功率は38.5%だった。イリノイ大で出場機会を得られず、サンタ・クララ大を経てのNBA入り。エリートとは言えない出自だが、ウォリアーズで1年目から自身の価値を証明した。

「僕がどこから来てここにいるのか、その旅路のことを考えずにはいられない。ルーキーが簡単にプレーできるわけじゃないチームに来た19位指名の僕が、オールルーキーファーストチームに選出された。それは僕のバスケに取り組む姿勢が良かったからだし、チームメートやコーチ陣、フロントの人たちのサポートのおかげでもある。ルーキーイヤーから何らかの成果を出したかったから、チャンスを生かせてうれしいよ」

そう語るポジェムスキーは、シーズンが進むにつれて任せられる責任が増し、最後はリーダーシップを発揮できたことを一番の成果だと考えている。「新人として入ってきた僕がここで学び、いろんな人の話を聞いて、そこから自分にできることを実践していった。シーズン終盤にはコート内外で声を出し、チームメートとコミュニケーションを取ることで自信を持てたように思う」

ウォリアーズは若手の成長にフォーカスするチームではない。『王朝』最後の優勝から苦戦続きで、ステフィン・カリーが全盛期にあるうちに、彼にとって5度目のNBA優勝を勝ち取ることが至上命題となっている。それが分かっているからこそ、ポジェムスキーも「目標はできる限り早く優勝すること」と高い目標を掲げる。「何人かのベテランは年齢を重ね、時間は刻々と過ぎていく。だから僕ら若手がタイトル獲得の手助けをしたいんだ。個人的にはMIPを受賞して、いずれはオールスターに選ばれたい。目標に到達するまで努力は惜しまないつもりだ」

4月中旬にシーズンが終了した後、彼はしばしの休暇を楽しんだ後、5月上旬にはトレーニングを再開させている。「上達しなきゃいけないことは多い。このオフはいろんなことに取り組む計画を立てているんだ」と彼は言う。休暇で何をしたのか問われた彼の答えは、「ミルウォーキーの実家に戻った時、バックスvsペイサーズの第5戦を見に行った。あの環境に身を置いて、プレーオフでどんなコールをしてどんなプレーをするのかを感じてきた」だった。

長く厳しく刺激的なルーキーシーズンを終えた後も、ポジェムスキーはバスケに飢えている。新シーズンの始動とともに、もう一回り大きく成長した姿を見せてくれそうだ。