ドリュー・ホリデー

「バスケの試合では思いもよらないことが起きる」

セルティックスvsペイサーズの東カンファレンスファイナル第1戦は、若いペイサーズのガッツと勢い、華やかなオフェンスが印象的だったが、勝ったのはセルティックスだった。そして、ペイサーズのような華やかさはなくても、好守において堅実でクレバーに振る舞い、必要なタイミングで必要な仕事を果たすことでセルティックスに勝利をもたらしたのは、NBAキャリア15年目のドリュー・ホリデーだった。

48分の出場で28得点7リバウンド8アシスト3スティール。そのスタッツ以上にホリデーは存在感を発揮し、それはチームがピンチに陥った第4クォーター終盤、そしてオーバータイムに一際大きなものになった。

セルティックスを率いるジョー・マズーラは「それがドリューという選手なんだ」と話す。「様々な形でチームに貢献でき、今日は得点、プレーメーク、ディフェンスと多くのことを彼に求めることになったが、そのすべてをもたらしてくれた。特に試合を通じての彼の落ち着きは、チームにとって大きな助けとなった」

セルティックスは133-128で勝利したが、両チーム合わせて261得点は今回のプレーオフで最も多くの得点が生まれた試合で、ペースを上げて点の取り合いをしたいペイサーズのプランにセルティックスは乗る形となった。だが、試合開始とともに12-0のランで得たリードを失った時も、相手の勢いがどんどん増していく時も、第4クォーター残り2分で5点のビハインドを背負った時も、セルティックスは落ち着いていた。

第4クォーター残り2分、アーロン・ネスミスに3ポイントシュートを決められた直後、デリック・ホワイトとの連携で簡単に2点を取り返したのはホリデーだった。チームが動揺しそうな時に、きっちりと仕事をこなすことでそれを未然に防ぐ。そうして常に集中を保っていれば、思わぬチャンスがやって来る。それがペイサーズの自滅とも言うべきターンオーバーであり、残り6秒でホリデーのアシストを受けたジェイレン・ブラウンが決めた超タフな同点3ポイントシュートだ。

ホリデーは言う。「バスケの試合では思いもよらないことが起きるものなんだ。僕は試合に負けるまで『負けた』とは思わない。それがこのチームの粘り強さの一つの理由になっている」

九死に一生を得る同点シュートを決めたブラウンはこの試合のヒーローとなったが、会見で語ったのはホリデーへの称賛と感謝だった。「ドリューはファンタスティックで、まさに別格だ。今日は彼のおかげで勝てた。常に落ち着いていて、マッチアップを上手く利用してパスを出した。(タイリース)ハリバートンをマークして、彼を追い掛け回した。ホリデーにしかできない特別なパフォーマンスだ」

そのホリデーは「僕はただアグレッシブに、自分のプレーをやり続けただけだ。コートのどこにいても、オフェンスでもディフェンスでもアグレッシブでいること。それを続けていけば何かが起きる」と語る。延長を含んで48分間の出場はキツかっただろうが、「この試合の前にじっくり身体を休めることができたので大丈夫。良い感じだよ」とホリデーは平然としていた。今後の試合でも、ペイサーズにとって、特にそのオフェンスの中心であるハリバートンにとって、ホリデーは大きな壁となるに違いない。